千駄木:具体的に言うと?
水戸:JASSOには「すべての情報を全員に平等に提供する」という特徴があります。例えば奨学生が100人いたとして、そのうちの1人にイレギュラーなケースが発生したとしても、情報を並列して記載するんです。「このケースは該当者が少ないから、補足情報として書こう」ではなく、最初から「このケースでは、A~Cいずれかのパターンがあり、さらにそれぞれ複数のパターンがあり……」となります。それは、JASSOが独立行政法人という、半分は国の行政が関わっているような形のため、立場的にも情報をフラ ットに出しているのでしょう。
そろそろ次のフェーズに移行する必要がある
千駄木:その結果、JASSOのホームページを読むだけでも一苦労なんだということですね。学生が置かれた状況も十人十色ですから、それぞれに対応しているとキリがないのもわかります。しかし、そうは言っても個別のケースにもしっかりと対応してほしいものです。
ちなみに、水戸さんは学生課の職員という立場では、学生たちからどのような質問を受けることが多いのでしょうか?
水戸:時期によって変わりますが、入金に関わるものがメインです。また、年度末や学期末になると「単位落とした」「欠席しすぎた」といった「この成績で奨学金は打ち切られないでしょうか?」という質問は、窓口に限らず全国的にも非常に多く寄せられますね。
千駄木:それは、むしろ微笑ましい光景(?)ですね。
水戸:特に給付型奨学金の継続基準は厳しめに設定されていることもあり、他の学生より敏感にならざるを得ないんです。
他には、「増額の手続きがわからない」や「いつから、いくら入るのか」などの質問もよく受けます。学生にしてみれば、急に毎月振り込まれていた奨学金がなくなったり、入学時点で奨学金という備えがないと不安ですからね。
当たり前のことですが、学生たちにとって奨学金は学生生活の根幹を支える足場みたいなものなので、万が一にも止まってほしくないし、ハシゴを外されてしまっては生活が成り立たないんです。
つまり、先ほどで述べた「俺の考えた最強の制度」という理論上では完璧なものが、もう現場では破綻しかけている。だから、そろそろ次のフェーズに移行する必要があると思います。
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