「親ガチャ」という言葉がある。生まれもった容姿や能力、さらに家庭環境によって人生は大きく左右されることから、「生まれてくる子どもは親を選べない」ということを、スマホゲームの「ガチャ」 に例えた2020年代のインターネット用語である。
「よく『自分は親ガチャに外れたから……』と自らを卑下する人がいますが、そんなことを言っても、何も変わらないんですよ。誰かが助けてくれるわけではないので」
しかし、今回話を聞いた谷山文明さん(仮名・35歳)はこのように語った。
父親が脱サラし、コンビニ経営を始めるも…
北関東出身の谷山さん。両親、彼のほかに妹がひとりという家族構成で、実家はコンビニを経営していた。しかし、経営はなかなかうまくいかなかったという。
「私が保育園の頃に父が脱サラして、コンビニ経営を始めました。土地も建物もすべて本部から借りる『Cタイプ』と呼ばれる経営方式ですが、全然うまくいってなかったみたいです。
1店舗目を早々に潰したあと、2店舗目を開店。というのも、1店舗目を潰したあとに、本部から『次はここで経営してみませんか?』と、別の土地を提案されたんです。
しかし、そのお店も、僕が高校生の頃に潰れます。『ドミナント戦略』といって、本部は同じチェーンのコンビニを近所に何店舗も作るのですが、うちは駐車場が5〜6台しか停められなかったため、すぐに周囲の新規店舗に負けてしまったんです。
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