大学院卒業の前年、リーマンショックが起きた。就職が決まっていた会社からは内定を取り消され、なんとか入社した別の会社は半年で倒産。その後、転職を重ねた先は、異常な長時間労働やサービス残業、ノルマの強制などが横行する問題企業ばかりだった。
30歳手前からは、ファミリーレストランやパチンコ店でアルバイト。ホームレス、生活保護、“ネットカフェ難民”を経て現在は、マンションなどの清掃員として働いている。
神奈川県在住のカナメさん(34歳、仮名)の“経歴”である。
滞納した税金が給与から差し引かれる
いま、ひとつ困っていることがある。ホームレス時代などの一時期、市県民税を滞納したため、給与の差し押さえに遭っているのだという。毎月およそ20万円の手取り額から滞納分を差し引かれ、カナメさんの手元には13万円ほどしか残らない生活が、ここ半年ほど続いている。13万円は、地域の生活保護水準とほぼ同額である。
「生活保護と同じといっても、僕は(生活保護利用者と違って)医療費はかかるし、働いているので昼食代とか出費もかさみます。(生活保護利用者よりも)確実に僕のほうが苦しい。もちろん、払わなかった自分が悪いんです。でも、布団もカーテンもない暮らしから、頑張ってやっとここまで挽回したのに……。落とし穴にでもはめられた気分です」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら