34歳貧困男性が「今が幸せ」と感じる深刻原因 ブラック企業で働くよりバイトのほうがいい

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30歳手前からは、ファミリーレストランやパチンコ店でアルバイト。ホームレス、生活保護、ネットカフェ難民を経て現在は、マンションなどの清掃員として働いているカナメさん(筆者撮影)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
今回紹介するのは「転職を繰り返したせいで税金や国保の滞納があり、毎日の生活に不安や不満が付きまといます」と編集部にメールをくれた34歳の独身男性だ。

大学院卒業の前年、リーマンショックが起きた。就職が決まっていた会社からは内定を取り消され、なんとか入社した別の会社は半年で倒産。その後、転職を重ねた先は、異常な長時間労働やサービス残業、ノルマの強制などが横行する問題企業ばかりだった。

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30歳手前からは、ファミリーレストランやパチンコ店でアルバイト。ホームレス、生活保護、“ネットカフェ難民”を経て現在は、マンションなどの清掃員として働いている。

神奈川県在住のカナメさん(34歳、仮名)の“経歴”である。

滞納した税金が給与から差し引かれる

いま、ひとつ困っていることがある。ホームレス時代などの一時期、市県民税を滞納したため、給与の差し押さえに遭っているのだという。毎月およそ20万円の手取り額から滞納分を差し引かれ、カナメさんの手元には13万円ほどしか残らない生活が、ここ半年ほど続いている。13万円は、地域の生活保護水準とほぼ同額である。

「生活保護と同じといっても、僕は(生活保護利用者と違って)医療費はかかるし、働いているので昼食代とか出費もかさみます。(生活保護利用者よりも)確実に僕のほうが苦しい。もちろん、払わなかった自分が悪いんです。でも、布団もカーテンもない暮らしから、頑張ってやっとここまで挽回したのに……。落とし穴にでもはめられた気分です」

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