「奨学金440万円」親ガチャ外れた35歳彼が得た物 「自分の将来に投資して、リターンを得てきた」

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そんな、アルバイト漬けの日々となった谷山さんだが、大学に通うための軍資金は奨学金である。彼が借りた総額は第二種奨学金(有利子)を4年間で約440万円。一方、年間の学費は50万円程度だったという。

となると、200万円ほど借りた金額は多いわけだが、そこにはこんな理由があった。

「奨学金は親が管理していたのですが、学費で使う分以外は実家のコンビニの運転資金に充てられていたんですよ。当時、実家のコンビニはまだ経営難で、銀行からも借り入れていたのですが、『その割合を減らしたい』『借りるなら金利の低いものにしたい』ということから、僕に奨学金を借りることを勧めたところもあるみたいですね……。

本来は学費に使うためのお金なのに、実家の事業の資金に使っていることについては、もう考えないようにしていました」

念願の出版社に就職、マンガ編集に

想定外の使われ方をしたが、奨学金を借りたことで進学できたことは確か。谷山さんは4年で無事に大学を卒業し、念願の出版社に就職。しかも、マンガ編集者としてマンガ雑誌の編集部に配属されたというから驚きだ。

一方で、社会人になって半年後には奨学金の返済も始まる。ただ、その半分は両親が運転資金のために使っていたため、当初は両親が奨学金を返済するという特殊な状況だったという。

「内定が決まってから、両親に『運転資金として使った240万円分は返してほしい』と伝えました。実家もその頃には借金はまだあるけど、3店舗目の業績が良くなってきており、返済できる状況だったので、社会人になって4〜5年間は代わりに払ってもらいました」

その結果、社会人になって早々に奨学金の返済で苦労することはなかったが、マンガの編集者は大変な職業である。付き合いも多く、想定外の出費もあったようだ。

「作家と飲みに行くと、1軒目は経費で落ちるのですが、2軒目は自腹になるんです。中には『2軒目は奢ってあげる』と言ってくれる作家もいますけど、解散が夜中になると、タクシーで帰ることになる。

でも、自分は新卒時代、都心からけっこう離れたところに住んでいたんです。初めての一人暮らしだったため勝手がわからず、またなぜか人事が初任給を教えてくれなかったのが重なって、『23区内で1番家賃が安い』といわれていた練馬区の4万5000円のアパートを選んだんですね。その結果、タクシー代がバカにならないという……。

一応、自分なりに節約・節制は心がけていましたが、やっぱり新卒で給料をもらえるとうれしいし、奨学金の返済も親がしばらく代わりに払ってくれる約束をしていたので、当時は入ったものをほぼ使いきるような生活をしていました。また、仕事のハードさから、現実から目を背けてパチンコばかりやっている時期もありました」

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