「奨学金440万円」親ガチャ外れた35歳彼が得た物 「自分の将来に投資して、リターンを得てきた」

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この連載をしていると、一定数の割合で「行動に一貫性がない」「なぜ急に投資を始めた?」などなど、「なぜそこでそうなる?」といった感想をもらう。気持ちはわかる。ただ、現実の人間とはそういうものなのだ。夜間大学に通っていた真面目な学生が、社会人になって弾けてパチンコにハマることだってあるのだ……。

このように急にギャンブル癖が始まった谷山さんだったが、練馬区住まいではタクシー代もバカにならないため、30歳になると独身ながら、会社近くの都心にマンションを購入した。そして、それなりに収入のある息子に対して、両親も泣きを入れてきた。

「正月に帰省した際に酔った勢いで、両親に給料を漏らしてしまったんです。すると、『もう自分で返済できるだろ』と言われました。貸した240万円にはまだ達していなかったですけど、『できれば、そろそろ自分で払ってほしい』という感じだったんでしょうね。

当時はパチンコもやめて多少余裕のある時期でもあったので、払うことに。そして、そこから奨学金の返済が一気に自分事になっていきました。自分の収入と返済と、家賃と生活費といった『費用』を計算するようになり、お金も貯めるようになりました。

マンション購入後は、ほぼお金を使わないような生活になっていき、住宅ローンと奨学金のための口座を一緒にしたところ、プール金ではないですが、自然と貯金も増えていきました。ついには奨学金を前倒しで返せるぐらい貯まったので、100万円分を一括返済しました」

奨学金の返済によって、現実的な考えになった面も

こうして、30代前半で奨学金を完済した谷山さん。転職を経験して、3社目となる今でもマンガの編集者として第一線で活躍しているため、奨学金で夢を叶えられた例といえるだろう。

ただ、その奨学金の返済によって、現実的な考えになった面もあったようだ。

「お付き合いしている人と結婚を考えるときは、常に奨学金が頭をよぎりました。『結婚式を挙げたくない女性』というのは少数派だと思いますが、自分はそういう人と無意識にお付き合いすることが多かったんですよね。奨学金がすべての理由ではありませんが、いろいろ計算すると最終的に『ひとりでいいや』という結論に落ち着くんです。マンションも結婚する気がなかった独身時代に購入しましたしね。

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