マギー学長:私は1970年代にアメリカ南部の学校で教育を受けていたのですが、そのころに初めて、黒人と白人が同じ学校で学ぶようになったのです。
そのときの経験は私に深遠なインパクトを与えました。
「さまざまなバックグラウンド」の人が一緒に学ぶ
マギー学長: 以来、「さまざまな社会的・人種的バックグラウンドの人々が一緒に学ぶことの重要性」を実感してきたのです。このことが、前述の非営利組織に、そしてミネルバ大学にキャリアチェンジをした原体験となりました。
その後、アメリカの教育は再度、社会的な分断が強まりましたが(※公教育の予算は街の税収次第であり、質のよい教育を受けるには富裕層が集まる地域に住む必要がある)、私の学生時代の原体験は、「教育を通じて社会正義を実現したい」という強い想いにつながりました。
ムーギー:マギー学長の原体験は、ミネルバ大学のコンセプトとよく整合していますね。
さまざまなバックグラウンドという意味では、私は韓国人ですが京都生まれで、日本で長く過ごしてきました。
ご存じのとおり、この2国は歴史的経緯をめぐり論争が絶えませんが、「両国の視点と情報」を知っている私から見れば、相手国の「視点」「文化」「情報」「言い分」を知らないばかりに誤解が生まれ、怒っている人があまりにも多いのです。
そこで先日、『そっか、日本と韓国って、そういう国だったのか。』という本を東洋経済新報社より上梓したのですが、このような「国際的な問題」に対し、「国際的な教育機関」や「そこで学んだ人材」が果たす役割は非常に大きいと思います。
話を戻しましょう。最後に、マギー学長は今後、ミネルバ大学を、どのようにさらに成長させていきたいとお考えですか?
マギー学長:ミネルバ大学は、「ミッションの追求のために存在する大学」です。
教育を通じて社会正義を実現し、グローバルな諸課題を創造的に解決できる人材を輩出していきます。このインパクトの大きさをスケールしていきたいと思っています。
学部の生徒数は格段に増加しますし、教員も大幅に増加します。世界各地の拠点都市も増えていくことでしょう。
また今後、新たに大学院教育としても既存の「アントレプレナーシップ」に加え、「サステイナビリティ」「教育デザイン」「国際関係・外交」の3つの領域にも拡大し、こちらも生徒数を増やしていく予定です。これらの院生が日本で学べるようにすることも検討しています。
ムーギー:「日本の教育改革」を考えるうえで、「重要な示唆」をいくつもいただきました。本日はありがとうございました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら