いよいよこの3月から「採用後ろ倒し元年」の2015就職活動がスタートした。真新しいリクルートスーツで学生が説明会や企業訪問に奔走している。
1年前を振り返ると2014年の新卒大学生の就職状況は大幅に改善した。大学通信の2014年調査による563大学の集計では、就職率は81.6%。79.0%だった前年からさらに上がり、リーマンショックで企業が採用を控え始める直前の2009年就職率80.9%を超える水準に戻った。
とはいえ、大学によって就職率の格差はある。そこで今回、大学通信の協力を得て、卒業生数の多い順(大学院進学・修了者含み450人以上)に上位300大学を、就職率の高い順にランキングした。大学通信は、各大学の就職課の回答した数値から就職者数÷(卒業生-大学院進学者)で算出した「実就職率」を集計値に使っており、今回のランキングもそれを採用している。女子の就職率も同じ基準で併載した。
就職率の差が学部志望動向にも影響
この就職率の差は、大学入試の学部志望動向に大きな影響を及ぼしている。受験生や保護者が、就職を重視した志望校選びを行っているのだ。最近の入試では理系の人気が高く、文系の人気が低い「理高文低」状態が続いている。
専門性が高かったり、資格が取れたりすることで就職に有利なのが理系人気の理由。逆に文系卒の多くが就く事務系は専門職種が少なく、ITをはじめとするテクノロジーの進化によって仕事をどんどん奪われている傾向がある。事務系職種を減らしている企業が少なくないのも影響している。
トップは長岡技術科学大学の97.8%、2位に福井大学(96.7%)、3位は順天堂大学(95.5%)が入った。長岡技術科学大学は理工系、順天堂大学は医療系と理系の強さを実証している。福井大学は就活支援が充実しており、地元企業への就職例も少なくないという。地方の国公立大では、企業の本社機能が大都市に集中しているため地理的にハンデがあり、その分の危機感が強い。
上位に目立つのは理工系の工業大学や、医療・社会福祉系、薬科系などの特色を持った大学。薬科系は薬剤師のニーズが強い。これに対して法、経済など伝統的な文系学部のある大学は、苦戦傾向がある。芸術大学や体育大学など特殊な分野の大学も下位に目立った。
就職を考えながら、大学・学部を選ぶことは当たり前になってきている。大学の支援なくしては、就活もままならないのが今の多くの大学生だ。就職率、就職先の検討も大切だが、大学の就職へのサポートをチェックしておくことも必要になってきているといえそうだ。