「自分の感情管理できる子・できない子」将来の差 スタンフォードが教える感情コントロール術

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ディスタンシングは自分の気持ちを外側から見直す力を養う心理メソッドで、自己理解と自己管理(セルフ・マネジメント)の力が身につきます。心理療法などでも普及してきた方法ですが、ここでは日常から子どもと始められるような応用法をわかりやすく基礎から解説していきましょう。

声には出さずに心の中で考えたり、自分と対話したりする「心の声」は、とても大切な役割を果たしています。例えば、自分を自分として意識することができるのも「心の声」のおかげ。覚えたことや自分の考えを心の中で思い浮かべる力は、学習にも欠かせません。

さらに、感情をうまくコントロールしたり、目標に向かって計画したり行動したりするのにも「心の声」が一役買っています。このように私たちにとって重要な「心の声」の働きですが、心がネガティブに傾き出すとマイナスの方向にも力を発揮してしまいます。

悲しい時に「心の声」に翻弄されてしまう

例えば、悲しい出来事があったとき、「心の声」が悲しい気持ちやネガティブな考えを心に巡らせて、暗い気持ちを増長させてしまう。そのせいでくよくよ考え出してしまう。ネガティブ思考の悪循環がひきおこされてしまうのです。そうなると、問題解決につなげるための建設的な考えを導き出すのが困難になってしまいかねません。

実際に、ネガティブな「心の声」の働きが空回りし始めると、うつ病や不安症、過食症などのリスクが高まってしまうことがわかっています。そうした「心の声」のネガティブループに陥らないようにするために有効なのが、「ディスタンシング」(distancing)のメソッドです。

これは、自分の気持ちと「距離(ディスタンス)をとる」というコンセプトで、最近の心理学研究でも注目を集めてきました。自分の心を他の誰かのように見立てて自分を外側から見直すような視点に立ち、自分の心と「距離」をとることで、マイナス思考やネガティブな気持ちのスパイラルから抜け出して、ポジティブに考えるきっかけを得ることができます。

実際にこれまでの研究で、感情のバランス維持やメンタル強化、さらには厳しい状況で冷静な判断をしたり、人間関係をよくするのに効果があることが確認されています。

次ページ自宅でできる「ディスタンシング」の訓練
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事