「自分の感情管理できる子・できない子」将来の差 スタンフォードが教える感情コントロール術
こうした脳科学的知見を背景にアメリカで広がりを見せるのがSELのトレンドです。「SEL」は「Social Emotional Learning」の頭文字をとった略語で、子どもたちの社会性(social)や感情(emotional)の認識と、コントロールに関する学習のことです。
ストレス・マネジメントや感情コントロールの方法、相手の話の聞き方や、共感する力(エンパシー)のトレーニングに、マインドフルネスなど、そうした新しいメソッドや科学的知見を取り込んで、子どもの社会性とメンタルを育てるSELのプログラムが、1968年のイェール大学の研究を皮切りに、アメリカの教育界で盛んに開発されています。
近年そうしたSELのトレンドが盛り上がりを見せてきたのは、子どもの社会性や感情の発達をサポートすると、心の健康だけでなく、学業成績も大幅にアップするということがわかってきたからです。
社会性や感情の力を養う大きな効果
SELで子どものメンタルが改善されるのはもちろん、成績もアップする。しかも、それはアメリカだけに特別なことではなく、文化が違っても同様の結果が得られる。さらに、学力やメンタルの健康など、子どもの将来にとって有益な効果を総合的に考慮した上で、SELのプログラムに費やす資金で得られる対価を計算してみると、元手の11倍なんていう試算も。
つまり、社会性や感情の力を養うことが、現在の成績やパフォーマンスのアップにつながるだけでなく、将来の学歴や収入、心と体の健康にまで直結していることがわかってきたのです。
このアメリカでのSELのムーブメントを牽引してきた組織が「Collaborative for Academic, Social and Emotional Learning」(CASEL)です。CASELは、SELを科学的なエビデンスで裏付けて、子どもたちの社会性とメンタルに関する学習の普及に努めてきました。
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