「自分の感情管理できる子・できない子」将来の差 スタンフォードが教える感情コントロール術

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そのCASELの提唱するSELの枠組みは、以下の5つの基礎能力を向上させる目的に基づくものです。

1 自分を理解する力(self-awareness)
自信を持って、自分の能力は伸ばせるものだと信じる成長マインドセットを持つ。自分の強み弱みを理解できる。
2 セルフ・マネジメント力(self-management)
ストレスとうまく付き合う。自分の衝動を適切にコントロールする。設定した目標に到達するためにモチベーションを維持できる。
3 他者を理解する力(social awareness)
多様な背景や文化の人たちを理解する。他者に共感し、思いやりを持つことができる。互いの違いから新しい学びを得られる。
4 人間関係スキル(relationship skills)
他者とうまくコミュニケーションがとれ、相互協力できる。不健全な場の空気に流されない。対立を建設的に解決できる。他者に助けを求めたり、自分から他者を助けることができる。
5 責任ある意思決定をする力(responsible decision-making)
自分の行動や、他者とのやり取りで、倫理的基準や安全性に基づいて、建設的な判断ができる。

自分とは違う意見を理解する力の重要性

これらCASELの5つの社会性と感情の力は、私が校長を務めるスタンフォード・オンラインハイスクールの「生き抜く力」の教育の根幹にもなっています。

例えば、すべての授業の基礎となっているオンラインでの少人数セミナーは、自己理解や他者理解、人間関係のスキルをサポートできるようにデザインされています。生徒たちはディベートやディスカッションを通して、自分の意見を表現する機会を得られると同時に、自分とは違う意見を理解する力を養うことができます。教師たちもそうしたコミュニケーションや社会性をコーチングできるようなトレーニングを受けています。

ここでは、スタンフォード・オンラインハイスクールでも教えるSELのメンタル強化法の中から厳選して、ディスタンシングを解説していきましょう。

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