ちなみに、「17.3%」「14.6%」あたりの数字は流行を考えるうえで微妙な水準だ。
根拠のある数字ではないが、体感的に「6人に1人」、つまり16.7%あたりを超えると、意見であれ、行動であれ、商品の購入であれ、集団として「一定の存在感」を持つ(正規分布で見ると、流行の先頭集団の比率が平均マイナス1標準偏差を超えて来る水準だ)。おそらく、今後ほどなくして、よりおおっぴらに「結婚なんてしなくていい」と主張する若い独身者が、無視しがたい勢力となるだろう。
今のままでは「少子化まっしぐら」?
問題を少々複雑にしているのは、結婚したくない男女の存在が少子化問題に影響することだ。結婚したい若い男女の減少は、少子化に直結すると考えられている。
同調査によると、「結婚したら子供はもつべきだ」と考える女性は36.6%、男性は55.0%だという。6年前の前回調査と比べて、女性は約30ポイント、男性でも20ポイントほど下がったのだという。女性にあってはほぼ半減に近い。ちなみに、希望する子供の人数も低下した。女性は1.79人(前回2.02人)、男性は1.82人(同1.91人)だ。
データを見て思うに、子供をもつ意欲の低下が、結婚したいという意思を減じているのだろう。初めに結婚の問題があるのではない。
そもそも、結婚は「多くの場合」、経済的に魅力的なものではない。多くの場合とは、夫も妻も働く現在、多数派となった共働き家庭のことだ。
夫婦両方がいわゆる「○○万円の壁」を超えてそれなりに稼ぐのであれば、配偶者控除も、典型的には会社員の配偶者に与えられる国民年金の第3号被保険者としての保険料免除も無関係だ。エサに釣られて夫婦になる必要はない。
これらは今や、配偶者の一方が専業主婦(夫)で家庭が成り立つ「ややリッチな会社員家庭」を、国民全体が支払う税金や年金保険料で優遇する不公平な制度である。制度として認められている受益なので、利用するのが悪いことではないが、あまり気持ちのいいものではない。本来廃止すべき制度だ。
なお、結婚のもう1つの経済的なメリットである相続の際の有利性は、経済力がある高齢の婚活者にとって、有力な「武器」として活用されている。彼らがこれを使うのは勝手だが(頑張れ!)、若いカップルが真剣に考慮するメリットではない。
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