働く母親の罪悪感「マミーギルト」から逃れる方法 家庭内のトラブルは母親が働いているせい?

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しかし、生活のペースを確保しても、仕事に全力投球するのは難しく、選択を迫られることもあります。例えば、泊りのある出張は断る(事前に申し出ておくと配慮してもらいやすいでしょう)といった、マイルールを決めておくと都度迷うことは少なくなります。ただ、仕事を断ったらもうチャンスはないのかも、そう思うことはあると思います。実際に同じ仕事は来ないかもしれません。しかし無理して引き受けて、自分自身がもっと苦しくなり心身がもたなくなったとしたら本末転倒です。心身のゆとりがないと仕事のパフォーマンスも上がりません。

勿論、同じ力配分を続けることは難しく、仕事を優先する時期があってよいし、受験などで子育てを優先する時期もあってよいと思います。

日々のルーティンに子どもとの時間を

そして、子どもと過ごす時間は短時間でも、心を通わせ愛情を伝えることはできます。「一緒にお風呂に入り、今日あったことを話す」「食事の後、だんらんタイムを設ける」など、会話を持つことが有効です。年齢に応じてのスキンシップなども大切なので「抱っこして本を読む」などを日々のルーティンにするとよいでしょう。

そこまで生活環境や気持ちを整理できても、思わぬ横やりが入ることもあります。おそらく今の子育て世代の方の母親の多くは、仕事よりも子育てを中心に生きてきた世代です。時代は変わっているにもかかわらず価値観を押し付けられてしまうことも多いのです。

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よいか悪いかは別として、自分自身が体験してきたことは確固たる事実であり、切り替えることは容易ではありません。親のサポートが必要なら、尚更、うまく関係づくりをしていかなくてはなりませんから、親の考えに反発するのではなく、親がしてきたことを認めたうえで、自分はこうしたいという意思を、繰り返し伝えていくことが大切です。

人一倍頑張っているのですから、要らぬ罪悪感を持たずに、自分だけの時間も持ってリフレッシュも積極的にしていきましょう。子育てをしている間は、仕事を持っていてもいなくても、毎日いろんな問題は起きるし、心配は尽きません。「何とかなる」の心のゆとりをもって、毎日を送っていただければと思います。

そして、それこそが子どもにもよい影響を与えていくと確信しています。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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