「強火で短時間」も「弱火でじっくり」も正解ではない
旅行すると意外な料理に出会えることがあります。今回、紹介する「ニラ豚」もその1つ。ニラ豚は大分県発祥の料理で、豚肉とニラを甘辛いしょうゆ味で炒めた料理。よく知られているニラレバより食べやすく、ご飯に合う味です。今回は炒めものを上手につくるコツを伝授します。
肉野菜炒めには「強火で短時間」と「弱火でじっくり」の2つの流派があります。強火で短時間というのは従来、語り継がれてきた方法。野菜は火を通しすぎると水分が出てきてシナシナになるので、その前に仕上げて加熱しすぎを抑える方法です。
一方、「弱火でじっくり派」は最近の理論で、弱火で炒めることで加熱しすぎを抑え、結果的にシャキシャキに仕上げる方法です。どちらの方式がいいのでしょうか。
強火か、弱火か。じつはどちらも正解ではないのです。強火で炒めると表面が焦げているのに中が生っぽい、という現象が起きます。野菜は加熱して80℃を超えるとペクチンが溶け、水分が出てきますが、火が強すぎると火が通らないうちに表面のペクチンが溶け始め、水分が出てしまいます。これが生っぽいのにベシャベシャという状態です。
逆に弱火で炒めると火は通りますが、外も中も同じようにペクチンが溶ける温度に達するので、歯ごたえは弱くなります。出てきた水分で加熱される状態になるので、どちらかというと蒸し野菜に近い食感ですし、香ばしさが出ず、時間がかかるというデメリットもあります。
中国料理のコックさんが炒めものをつくる様子を観察すると、強火で一気呵成に炒めているように見えます。しかし、油通しといって低温の油で事前に材料に火を通し、そこから強火で表面の水分を飛ばしているのです。ここに最高の炒めものをつくるためのヒントがあります。弱火や強火といった概念ではなく、適切に熱を通すことが重要なのです。
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