PTAでいちばん大変!"役員決め"の舞台裏 知られざる要職“PTAハンター”の悲鳴

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とはいえ、現役員があまり偏った選考をして、せっかく自分から立候補してくれた人を一律に排除するようではいけません。ほかの会員たちからも当然、非難の声が上がるでしょう。これは選考委員があってもなくても同じことです。PTAにかぎらず、会社やNPOなど団体の後継選びにつねに付きまとう問題ともいえますが。

実際、選考委員なしで、うまく回っているPTAも存在します。たとえば、大田区立嶺町小学校PTO(PTA)。委員会を廃止し、すべての活動をボランティアで行っているため、もちろん選考委員も存在しません。次期役員を探すときは、現役員が「あなたと一緒にやりたいんです!」と声をかけるそうです。

団長(会長のこと)の山本浩資さんは、このように話します。

「要は、“誘うほうも誘われるほうも気持ちよく”を目指せばいいのだと思います。今年に入ってから声かけを始めましたが、17人のスタッフのうち新規加入メンバー10人が1月中に決まりました。推薦委員会は、やめてよかったと思います。復活を望む声は聞こえてきません。それはそうですよね、みんな嫌ですから(笑)」
(注:同PTAでは、PTAをPTO、会長を団長と呼んでいます)。

もう一例、挙げましょう。先の座談会に登場したAさんの上の子が通う中学校も、選考委員がないそうです。

各学級から選ぶのは、クラス委員4人のみ。全学級のクラス委員が集まって話し合い、その中から運営委員(委員会の仕事を担当)と実行委員(副会長・書記・会計など)を決めています。

「実行委員を決めるときは、みんな『協力するよ』という雰囲気になるので、わりと和やかに決まります。もともとこの中学校のPTAは、そんなに仕事も多くないですし」(Aさん談)。

このように、選考委員がなくてもPTAは運営できるのです。みなさんのPTAでも、もし役員の選出方法に悩んでいるのであれば、こういったやり方に変えてみてはいかがでしょうか?

やり方を変えるには労力がかかるので、まずは自分が役員になる必要があるでしょう。もしかしたら自分から手を挙げると、現・役員から却下されることもあるかもしれませんが……(汗)。その場合は、委員から実績を積むのもいいでしょう。

あきらめずにトライしていただけることを、祈っています。

 

 

大塚 玲子 ノンフィクションライター

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おおつか れいこ / Reiko Otsuka

主なテーマは「いろんな形の家族」と「PTA(学校と保護者)」。著書は当連載「おとなたちには、わからない。」を元にまとめた『ルポ 定形外家族』(SB新書)のほか、『PTAでもPTAでなくてもいいんだけど、保護者と学校がこれから何をしたらいいか考えた』(教育開発研究所)『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版)『オトナ婚です、わたしたち』(太郎次郎社エディタス)『PTAをけっこうラクにたのしくする本』(同)など。テレビ、ラジオ出演、講演多数。HP

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