脱北してYouTuberになった彼が得た"本当の自由" 草が入ったとうもろこしご飯を食べていた10代

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組織のルールは守るべきだが、ルールを作ったのも人間なのだから、現実にそぐわないことは指摘する。残業しないといけないような雰囲気だからするのではなく、自分に合う形で自分の仕事をやることで周囲を納得させなければならない。

ルールに抗うのではなく、決められた規則の中でよりよく仕事ができるように工夫することが大事だ。それが会社の利益につながるならば、上の人も納得するはずだ。

僕はお金がなくて食べられなかったぶん、脱北した当初はお金や物質的なものにとても執着していた。だが、資本主義社会を経験する中でそれは薄れていった。お金を稼ぐことを目的にせずとも、勉強を重ね自己を啓発し、それなりの人間になっていれば、その人の価値に合った収入が入ってくると思うようになったからだ。ある意味、お金から自由になれたということだろう。

新たな家族との絆

僕が脱北して得たのが、自由のほかに「新たな家族」という存在だ。父が脱北して再婚した継母と、その連れ子である義兄は、僕にとって大切な存在となっている。

一度目の脱北時、父と国際電話をしたときに、そこではじめて会話したのが継母だった。最初は知らない人を母と呼ぶことができなかったが、父からは優しい妻であると聞いた。中国で長く孤独に暮らした、不憫な父の側にいてくれるというだけで僕にとってはありがたかった。万が一、僕にとってはよくない人物だとしても、父に対していい人であればそれでいいのだ。幸い、継母とは性格や、真面目に仕事をして生きていくといった考え方が似ていたので、すぐに親しくなれた。

現在、父には月1回だけだが、継母には毎週電話をかけている。父の友達からは、父が「息子が妻にはよく電話するけど自分には電話してくれない」とぼやいていると聞いた。継母に僕のことを「まるで俺の息子じゃなく、お前の息子じゃないか」と言ったりもするらしい。

もちろん、父を二の次にしているわけではない。僕が継母と良好な関係を保つことで、彼女が父によくしてくれると思うので、この行為は実は父孝行でもあるのだ(継母のほうが接しやすいという理由もあるが)。

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