「リーダーは召使い」が社員のやる気を高める理由 トップダウンのやり方はあまり意味をなさない

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明るい未来を示してモチベーションを上げようと、まずやってしまいがちなのが、従業員や幹部との間で親睦を深めるために、社長主催の飲み会を開いたり、ランチ会を開催したりすることです。

もちろん、親睦を深めることには反対しませんが、それで従業員が抱えている不安や動揺を解消することなどできません。しかも、酒の席で従業員に会社に対する要望や満足度など聞いてしまうと、不満や不安が噴出することもあります。

福利厚生が充実していないとか、賃金を上げてほしいとか、残業が多いなど、下手するとつるし上げに合うかもしれません。せっかくカルチャーをつくってきても、これでは台なしです。

トップダウンで中期経営計画を作っても失敗する明るい未来を見せるには、現状を正しく把握したうえで、中期経営計画を策定することです。ただし、出し方には十分注意が必要です。中期経営計画の出し方は大きく以下の3つの方法に分けられます。

1.トップダウン方式:経営者や場合によっては幹部を交え、目標を設定する
2.ボトムアップ方式:現場社員や管理職が目標を設定する
3.バランス方式:1と2で仮決定したうえで、目標を突き合わせ再考し、設定する

もちろん、会社の状況によってどの方式が最適なのかは異なりますので、正解は会社や経営者のパーソナリティーによって三者三様です。

しかし、1つだけいえるのは、トップダウン方式で中期経営計画を立ててしまうと、納得感よりも不満のほうが強くなる傾向があるということです。経営者が中期経営計画を設定し、各部門や事業部ごとに達成目標を設定、さらには個人の目標まで落とし込んで設定するという一連の流れとなるので、個々の社員は「勝手に目標を決められた」と思ってしまいます。

当然ながら、「なぜこの数字になったんですか?」という疑問が湧き、上司など管理職に尋ねると、「会社で決めたことなんだから、つべこべ言わず頑張ろうよ」とか「給料をもらっているんだから、これぐらいはやらないといけないよ」など、理由を説明せず強制するケースが散見されます。

なかには、管理職も実はなぜこの数字になったのかを理解しておらず、「なぜ、こんなに目標が高いのかな?」というようなことを言ってしまうこともあり、こうなると現場はやる気と目標を達成する意欲を失うという最悪の事態に陥ります。

しかし、こうした最悪の事態でなくとも、実は中期経営計画の達成率は、どの企業でも悪いのが現実です。

なぜ目標を達成しなければいけないか

なかでも、最も印象的だったのが、管理職研修の参加者から「『なぜ目標を達成しなくてはいけないんですか?』と新人社員から聞かれたのですが、うまく答えられなかった」といわれたことです。その企業では、明らかに社員が納得していない中期経営計画が設定されており、従業員の多くが不満に思っていました。それでも、口に出さずにいたようです。そのような状況で、入社したての新人が悪気もなく言った一言だそうです。

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