中国2大配車アプリを合併させた仕掛け人 シェア99.8%の新会社が向かう先とは?

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しかし、なぜ、こんな複雑な状況から、一転して両社合併という結論に至ったのだろうか。

雑誌「中国企業家」の表紙を飾った柳父娘

実は、1人の女性リーダーの存在が大きな役割を果たしたと言われている。その人物とは、柳青氏。2014年7月に「滴滴打車」のCOOとして入社。今後、合併会社の総裁に就任する予定の人物だ。

1978年生まれの柳青氏は北京大学卒、ハーバード大学大学院を経て、ゴールドマンサックス執行役員を務めるなど、華々しい経歴を持つ。その後、「滴滴打車」に入社し、COOを務めている。実は、あのパソコン大手Lenovo(連想集団)の創業者である柳伝志氏の娘である。

柳青氏は、滴滴に入社後、まず多額の資金調達を実現した。正確なところは公開されていないので分からないが、私の感覚では、昨年の段階では、どちらかというと「快的打車」の方が、「滴滴打車」より勝っており、使う機会は明らかに快的のほうが多かった。しかし、年末頃から「快的打車」では、タクシーが急激に捕まらなくなり、「滴滴打車」ばかり使うようになったように記憶している。

ここからは筆者の推測になるが、おそらく柳青氏は調達した資金を投じて、「滴滴打車」のシェアを一気に引き上げ、有利な形での合併交渉に話を持ち込んだのではないかと思われる。

なぜそう言えるかといえば、キャンペーンをやっても一時的なシェア奪還に過ぎず、今さら巨額の資金を投入する意味は無かった。合併というシナリオがあったからこそ、シェア奪還に動いたのではないだろうか。「快的打車」と「滴滴打車」のCEOは、二人とも、自分たちが「代理戦争」に巻き込まれていると不満に思っていただろうし、明確なビジョンを持った第三者が入れば、あり得る展開だった。

次のシナリオも練られているかもしれない

ニュースでは、これは22日間で決めたスピード合併と言われているが、彼女の中では、用意周到に計画されていたシナリオのもと、計画されていたのではないかと私は思う。

そう考えると、気になるのは、そのシナリオの続きだ。彼女の父が経営するLenovoは、2010年に「神州租車」というレンタカー業界トップの企業に出資している。これも一つのシナリオで動いているとしたらどうなるだろうか。

配車アプリという「天王山」を制したのは、3大IT企業ではなく、彼女自身だったのかもしれない。だとすれば、これからの彼女の動きには目が離せない。

大城 昭仁 インヴィニオチャイナ 総経理兼CEO

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おおしろ あきひと / Akihito Oshiro

野村證券、独立系投資会社を経て、2004年に株式会社インヴィニオ入 社。総合商社、製薬、化学など100社を超える上場企業において、新規事業開発、次世代経営者の育成、グローバル組織開発などのプロジェ クトを主導。2011年より現職。上海市浦東新区外商投資企業協会常務理事。中国の大手研修雑誌の理事も務める。

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