配車サービスUberにタクシー業界が「待った」

破竹の勢いの一方、各国当局は規制に向かう

世界中でUberに対し、タクシー運転手による反発が広がっている(写真:ロイター/アフロ)

破壊者か、革命児か──。タクシーの配車アプリサービス、米Uber(ウーバー)が世界各国で波乱を巻き起こしている。

Uberはトラビス・カラニックCEOらが2009年に設立した。スマートフォンの専用アプリを活用し、タクシーを呼ぶという単純なサービスだが、瞬く間に利用者数が拡大。わずか5年で日本など世界53カ国、250都市で展開するまでになった。人気を集める理由は、ITを駆使し、タクシーの使い勝手を圧倒的に向上した点だ。アプリに行き先を入力すれば、運転手の到着時間や料金の目安が示されるほか、支払いも登録済みのクレジットカードで自動決済される。自動車の種類は、格安の「UberX」から高級感漂う「Uber Black」まで選べる。

アプリは世界共通のため、言葉の通じない国でも、タクシー利用にとまどうことがない。「自国の言語で行き先が指定でき、支払いも自動のため、東京に出張に来た外国人が利用するケースも多い」と、Uber日本法人の高橋正巳社長は説明する。利用者が運転手を評価する仕組みを導入、結果をオープンにしているのも特徴だ。シリコンバレー在住のコンサルタント、徳田浩司氏は「運転手側も評価を気にして車をきれいにしたり、顧客に親切にしたりせざるをえない。それがサービス向上につながるのでは」と評する。

世界で約200万人が利用

タクシーといえば、汚くて料金が不明瞭、安全性も微妙という地域では特に、Uberは革命的な存在だ。2014年12月31日だけで世界で約200万人が利用。既存の業界秩序に変革をもたらす技術やサービスをディスラプティブ(破壊的)と呼ぶが、ウーバーはその代表格だろう。

未上場ながら、強気のカラニックCEOが最近米紙に語ったところによると、売上高は「半年ごとに倍以上」で成長。各国で運転手を採用し、人員も増強の一途である。そんな革命児をベンチャーキャピタルや投資家が放っておくわけがない。2014年6月、投資信託大手フィデリティ・インベストメントなどから12億ドルの出資を受けたほか、12月にはカタール投資庁などから12億ドルを追加調達したとみられる。6月時点で180億ドルだった企業価値は、12月に400億ドル(約4.8兆円)に膨張。ツイッターは上場時、時価総額が2.4兆円だったのに比べると、期待値の高さがわかる。

が、このままスムーズに事業を拡大し続けられるかというと、そう容易ではない。

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