ソフトバンクが惚れた「配車アプリ」の実力 創業2年のアジア企業に300億円を出資

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グラブタクシー創業者のアンソニー・タンCEOは家業を継ぐよりグラブタクシーの設立を選んだ(Getty Images)

アジアでの出資を加速――。ソフトバンクは4日、シンガポールに本社を置く、タクシー配車アプリのグラブタクシー(GrabTaxi)を開発するグラブタクシーホールディングスに2億5000万ドル(約298億円)出資し、同社の筆頭株主になると発表した。出資比率については双方とも明らかにしていない。ソフトバンクは10月末にも、インドのタクシー配車アプリ「ANI テクノロジーズ(通称オラ)」にも227億円出資しており、タクシー配車アプリへの出資はこれで2件目となる。

グラブタクシーは2012年にマレーシアで設立され、現在はシンガポールに本社を構える。誕生わずか2年余りの会社に約300億円を投じるとは、きっぷが良すぎるようにも見えるが、実際それほどにグラブタクシーの成長は目覚ましい。

1秒に3台の割合で予約

同社のアイデアが生まれたのは11年のこと。当時、ハーバード・ビジネススクールの生徒だったアンソニー・タン創業者兼CEOが、共同創業者のタン・フーイ・リン氏と共にスマートフォンのGPSを利用してタクシーを手配するアプリのアイデアを思いつき、同大のビジネスプランコンテストに提出した。

結果は見事準優勝。実は、タンCEOの父親は、マレーシアで日産自動車の販売店などを手掛けるタンチョン・モーターの社長を務めているが、悩んだ末に一族の事業は継がず、大学からの出資を受けて、12年にマレーシアで、グラブタクシーの前身となるアプリ「MyTeksi(マイタクシー)」の配信を開始した。

その後、怒濤の勢いでサービスは広がる。現在はマレーシアやシンガポールだけでなく、タイ、フィリピン、インドネシアなど6カ国17都市で展開する。グラブタクシーによると、直近のアプリダウンロード数は約250万件と、1年前から5倍に膨らんだほか、少なくとも1カ月に1回以上利用する人の数は約50万人と、こちらも1年前から約6倍増加。また、予約数も1年前の水準から約9倍に増え、今や1秒に3台の割合で予約されている状況だという。

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