ソフトバンクが惚れた「配車アプリ」の実力 創業2年のアジア企業に300億円を出資
これだけ短時間で一気に利用者を増やした理由は、ズバリ、東南アジアにおいてタクシーの使い勝手を著しく向上したからにほからなない。
国によって状況が異なるが、東南アジアの多くの国では、高額料金をふっかけられるトラブルや、安全面での不安などから「特に女性は安全面のこともあって気軽にタクシーを使うという感じではなかった」(同社広報のシェリル・ゴー氏)。
そこで、グラブタクシーでは、運転手と契約する際、インターネットでの申し込みは受け付けず、すべての国で運転手と直接面談を行い、営業用自動車免許や自動車登録証明書、車体の状態やナンバープレートなど徹底した身元確認を実施。登録を許された運転手についても、定期的にランダムに運転手の利用者への態度などをチェックする。「きちんと面談などをするため人手が必要で、設立2年余りの会社にもかかわらず、従業員は500人以上に上る」(同)という。
利用者に最も近いタクシーを見つける
東南アジアの一部では、グラブタクシーのほかに、配車アプリのパイオニア、米ウーバー(Uber)など競合が進出しているが、「グラブタクシーがほかに比べて優れているのは、利用者に最も近くて利用可能なタクシーを見つけてくれることだ。ほかのアプリでは、利用者の要請に最初に反応したタクシーが割り当てられることも多く、実際頼んでから車が到着するまでに時間がかかる場合も少なくない」と、シンガポール在住の交通ジャーナリスト、シン・コック・チー氏は話す。
さらに、「ほかのサービスの場合は、利用者はタクシーの自動車登録番号しか知らされないが、グラブタクシーの場合はそれに加えて、運転手の名前から電話番号、おおよその料金まで教えてくれる」(チー氏)。
また、ウーバーのようなタクシー配車アプリは、従来のタクシー料金より安価な料金でサービスを提供したり、法規制を遵守していないなどの見方から、既存のタクシー運転手やタクシー会社と対立している例が少なくない。が、グラブタクシーは、「私たちは東南アジア生まれの、東南アジア人が運営している会社だから、東南アジアのやり方を尊重してやっている。既存のタクシー会社にも登録してもらうなど、現地のタクシー会社と競合ではなく協業している」(ゴー氏)。
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