「日本の食産業」世界から遅れを取りかねない現実 国際コンクールから見える他国との大きな差

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つまり、投下する資本と結果には相関関係があるということだ。日本では、農林水産省に話を持っていっても、フランス料理だけにお金を出すわけにはいかない、という答えが返ってきてしまうと聞く。日本ならではの公平主義、分配主義も時に考えものだと思わざるをえない。

ボキューズ・ドールのような国際的に知名度が高い大会で入賞したり、優勝することは、その国のフランス料理のレベルの高さだけでなく、その国の食材や食品、あるいは調理機器メーカーなどにもメリットがあると言われる。それゆえに、外食や食品産業を盛り上げる一環として、他国では国や大手企業が積極的にかかわっているのである。

和食がユネスコの無形文化遺産に登録されるなど、日本の食のレベルは世界的にも知られている。だが、産業という観点で見たときに、日本は個々のプレイヤーがそれぞれ努力している一方で、それをきちんとした産業としてバックアップする意識や体制が足りないことが、ボキューズ・ドールのような国際コンクールから垣間見られるのではないだろうか。

予選通過後、これから何が行われるのか

今後のスケジュールだが、大きな流れがテーマ素材の決定だ。本選はプレート審査(一皿盛りの料理)とプラッター審査(フランス伝統の大皿盛り料理)の2種目で行われる。プラッターのテーマ素材が9月末、プレート料理のテーマ素材11月末というのがおおまかなスケジュールだそうだ。

そして、いずれも、テーマ決定の1カ月後には、レシピを出さなければいけないというルールがある。ゆえに、テーマ素材が決まってからは、本当に時間がない。今のうちにできることは、なるべく進めなければいけない。本戦まであと5カ月弱。やることが山積している。

小松 宏子 フードジャーナリスト

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こまつ ひろこ / Hiroko Komatu

祖母が料理研究家の家庭に生まれ、幼い頃から料理に親しむ。雑誌や料理書を通して、日本の食文化を伝え残すことがライフワーク。近刊に『トップシェフが内緒で通う店150』(KADOKAWA)。

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