Flipboardが指し示す「メディアの未来」 ウェブ版が登場し、新たなプラットホームへ

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今回のウェブ版はスイスのデザイナーを中心に開発された。日本語・中国語・韓国語といったアジア圏の文字への対応も、中国のFlipboardオフィスが中心となって調整が進んでいる。

ブラウザの技術の発展によって、雑誌的なレイアウトにこだわる表現を可能にしたのが、ウェブ版のFlipboardだ。

オンラインメディア収益化と「リッチ化」の未来

Flipboardのビジネスモデルは広告である。しかも、ウェブのリンクやバナー広告ではなく、デジタル雑誌としてのFlipboard向けにデザインされた、紙の雑誌のようなリッチな広告の配信だ。

これらはメディア自身のマネタイズにもつながる。こうした点もマッキュー氏が「アプリではなくプラットホーム」と強調する理由だろう。

「ウェブ版でも、引き続き広告がビジネスモデルになります。画面いっぱいに広がる美しい「全面広告」(full-page ads)という、ほかのメディアやサービスでは実現していない表現で、広告主に訴求することができます」(マッキュー氏)

Flipboardは既に、Gucci、Jack Daniel's、Chrysler、Lufthansaといったブランドの、ビデオを活用した全面広告を展開しており、ウェブ版でもこうした広告を採用する。

マッキュー氏によると、こうした全面広告のフォーマットやツールを提供することで、これまでのウェブサイトよりも単価の高い広告を販売できるようにするとしている。オンラインメディアの収益化をサポートすることによって、Flipboardに記事を提供するメリットを増幅させる戦略だ。

この戦略は、日本を含む海外でも同様だという。「現在、ユーザーの60%が米国外からの利用です。中国や中南米からの利用も伸びています。それぞれのローカルのメディア、キュレーターと連携しながら、Flipboardのユーザーの利便性とコミュニティを充実させていきます」(マッキュー氏)。

また、現在はオンラインメディアのマネタイズにフォーカスしているが、将来的にはFlipboard上でMagazineを作っているキュレーターがマネタイズできるようにする仕組みも考えているという。

収益手段の「リッチ化」と「多様化」は、Flipboardというメディアプラットホームの有望な将来像だ。広告のリッチ化は、メディアと広告主のクリエイティビティにも左右される領域。プラットホームの成長だけでなく、メディア、企業、そしてキュレーターとしてのわれわれの成長にもかかっている。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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