Flipboardが指し示す「メディアの未来」 ウェブ版が登場し、新たなプラットホームへ

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Flipboardのデジタルらしさをもうひとつ紹介するなら、記事を分類しながら、自分で「雑誌」を作れることだ。「Magazine」機能は、ひとりもしくは複数人で記事をピックアップし、格納することで出来上がっていく。そしてこれをほかのユーザーがフォローすることができる。もちろん、ほかの人が作った「Magazine」を購読することも可能だ。

メディアを横断して記事を興味で集め、キュレーションを行う。そんな「未来の雑誌」の形を、ページをフリップする心地よいユーザーインターフェイスで実現しているのが、Flipboardの姿だ。

Flipboardが、2010年に登場したiPadからアプリをリリースしたのも、新しいデバイスで新しい雑誌を実現するというコンセプトから来るものだ。その後iPhone、Android端末向けにアプリをリリースし、2015年になってウェブ版を登場させた。

CEOのマッキュー氏は、「Flipboardはアプリ企業ではなく、プラットホーム企業である」と強調する。ウェブ版の登場で、同社のプラットホームとしての立ち位置もより明確になっていくはずだ。

「紙」的レイアウトへのこだわり

Flipboard CEO、Mike マッキュー氏。「もうアプリだけではない」としてウェブ版を披露した

Flipboardは2014年3月に、競合するニュースアグリゲーション企業『Zite』を、CNNから買収している。Ziteは記事のレコメンドやパーソナライズに長けた技術を持っており、Flipboardの「Magazine」の購読数を、平均値9から35に引き上げる効果をもたらした。

一方で、Facebookもニュースを読むためのアプリ「Paper」をリリースするなど、競争も激しい。しかし、ニュースを読む人同士の興味や関心のつながりを、「Magazineの購読」という形に置き換え、より人々がキュレーションを行うという意味にフォーカスすることで差別化を図っている。

シリコンバレーのネット企業は、ウェブ版をリリースするところから始めることが多い。アプリ開発よりもウェブ版の方が、開発リソースを効率的に利用できるからだ。

しかし前述の通り、Flipboardは「未来の雑誌」という体験を重視し、iPadアプリとして出発している。ではなぜ、アプリ版のリリースから5年後に、ウェブ版のリリースへと至ったのだろうか。

次ページなぜウェブ版をリリースしたのか?
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