退勤まで「延々と暴力」新人パティシエの壮絶被害 泥酔オーナーの「流血事件」で店は営業停止に…

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――そのお店を離れる決心はどのようにして固まったのでしょうか。

私が離れようと思ったというか、お店がなくなっちゃったんです。営業停止になって。

――いったい何が?

オープンから3年ほど経った頃に入ってきた後輩が初めて長続きしたんです。それまでに何人も新人さんが入ってきたけど、何十人単位でみんなすぐに辞めていきました。そんな中、その後輩は2カ月経っても辞めなかった。順応しようとがんばれてしまうというか、私と似たところがあったんだと思います。

ハラスメント被害者の「その後」の話
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その子が増えたので、労働環境としては少しマシになりました。気持ちの面でも、その子と助け合うという意識があったからやっていけた部分が大きいです。

ただ、ある休みの日に自転車でお店の前を通ると、オープンの時間を過ぎているのに鍵がかかったままだったんです。どうしたんだろうと中に入ると、後輩が頭から血を流して倒れていました。

すぐに救急車と警察を呼んで命は助かったんですが、訳を聞くと泥酔したオーナーに殴られた拍子に冷蔵庫に頭をぶつけて、そのまま気を失ったということでした。私がたまたまお店の前を通りかからなかったら亡くなっていたかもしれないと思うと……。

――佳奈さんが駆けつけたとき、オーナーはその場にいなかったんでしょうか?

後輩が気を失っている間に逃亡して、それっきり会っていないんです。

次回はハラスメント後の人生を伺う

あまりにも常軌を逸した内容に動揺するばかりで、連載初回で伺った被害者との対話についてのノウハウをなんら意識できない取材になってしまった。

次回は引き続き佳奈さんにお話を伺い、被害者としての体験を元に、今現在被害に遭っている人に対してどのように接するべきか、思うことを聞かせていただいた。

(後編:「頭から流血」見習いパティシエが遭った壮絶暴力

本連載では、お話を聞かせてくださる、ハラスメント被害者の方を募集しています。パワハラ、セクハラ、モラハラ、アカハラ……など種別は問いません。応募はこちらからお願いします。(ヤフーニュースなど外部サイトの方は、お手数ですが東洋経済オンラインをご覧ください)
ヒラギノ 游ゴ ライター/編集者

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ひらぎの・ゆうご / Yugo Hiragino

ライター/編集者。

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