ブラック企業という言葉が定着して久しい日本社会。ネットで検索すれば「ブラック企業の見分け方」「ハラスメントへの対応の仕方」「過去の裁判事例」などを知ることができる。一方で「ハラスメントを受けた人の、その後の人生」が詳しく語られる機会は十分に存在するだろうか。
「ハラスメントが原因でうつ病を発症した」「働くことが怖くなり、経済的に困窮した」「夢見た業界を離れたことに、後悔を募らせている」……そんな人は、決して少なくないだろう。"加害者から離れたから終わり"ではないのだ。
そこで本連載では、ハラスメント被害者のその後に注目。被害者へのケアのあり方について考えていく。
話を聞いたのは、IT企業でパワハラの被害に遭ったゆりなさん(仮名・31歳)。上司による壮絶かつ陰湿なパワハラ、それを把握しつつ対策を取ってこなかった会社側の問題が浮き彫りになった前回に続き、今回は「ハラスメントによる後遺症」や「被害者ケア」などについて聞いていく。
パワハラ後に生じた「後遺症」とは?
――ゆりなさんは以前在籍していた会社で、上司から「衆目が集まる中、大声で罵倒される」「あなたのせいで会社の空気が悪くなって観葉植物が枯れたと責められる」「事あるごとに『会社のお金をドブに捨てている』となじられる」などのパワハラを受けてきたということでした。
パワハラを受けた結果、被害の記憶が焼きついたり、ふとぶり返したりして、生活に困難を抱えている方もいらっしゃいますが、ゆりなさんはいかがですか?
振り返ってみて思い出したんですけど、退職してから2~3年はあの頃の記憶に悩まされていました。トイレで手を洗っている時、鏡越しに人が入ってくるのが見えて、それが元上司と似たロングヘアで背の高い女性だとびくっと体が硬直してしまうことがあったり。
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