古本屋チェーンとして一世を風靡し、現在ではCDやDVD、家電やブランド品なども扱う総合リユース店として知られるブックオフ。創業当初は「出版文化を破壊する」存在として、業界内外から批判されることも多かったが、はたしてそれは本当なのか。
この連載ではそんな疑問を土台に、10代~30代の若者の目線から、ブックオフという存在を再考していく。筆者は『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社新書/以下、『ドンペン』)を刊行し、チェーンストアを通して現代の消費空間、都市空間を語る24歳のライター・谷頭和希氏だ。
初回となる今回は、初エッセイ『それを読むたび思い出す』(青土社)を今年2月に上梓し、ブックオフへの愛を語ったことで話題となった書評家・三宅香帆氏と谷頭氏の、20代同士の対談をお届けする。
「ブックオフは出版業界を壊す」は本当だったのか?
谷頭:最初に、三宅さんの自己紹介をお願いします。
三宅:1994年生まれで、出身は高知県です。大学・大学院時代は京都にいて、大学院在学中に『人生を狂わす名著50』(ライツ社)という本を出し、それから書評家として活動しています。最近では『それを読むたび思い出す』という、初めてのエッセイ集を刊行して、その中にブックオフの思い出も書いています。
谷頭:三宅さんと僕とでは、生まれや書いているものはかなり違うんですが、それでもブックオフについては同じような経験をして、同じことを感じている気がします。とくに、ブックオフに代表されるチェーンストアが、地域の文化や共同体を壊していく、という紋切り型の批判に対する疑問。
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