28歳書評家が「ブックオフ」に愛と感謝を語る理由 「チェーン=貧困の代名詞」という考えに疑問

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チェーンストアを批判する教科書の記述に、子どもの頃から首を傾げていたという書評家の三宅香帆氏。大人になった今、自分を育ててくれたのはチェーン古書店である「ブックオフ」だったと語ります(撮影:尾形文繁)
古本屋チェーンとして一世を風靡し、現在ではCDやDVD、家電やブランド品なども扱う総合リユース店として知られるブックオフ。創業当初は「出版文化を破壊する」存在として、業界内外から批判されることも多かったが、はたしてそれは本当なのか。
この連載ではそんな疑問を土台に、10代~30代の若者の目線から、ブックオフという存在を再考していく。筆者は『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社新書/以下、『ドンペン』)を刊行し、チェーンストアを通して現代の消費空間、都市空間を語る24歳のライター・谷頭和希氏だ。
初回となる今回は、初エッセイ『それを読むたび思い出す』(青土社)を今年2月に上梓し、ブックオフへの愛を語ったことで話題となった書評家・三宅香帆氏と谷頭氏の、20代同士の対談をお届けする。

「ブックオフは出版業界を壊す」は本当だったのか?

谷頭最初に、三宅さんの自己紹介をお願いします。

三宅1994年生まれで、出身は高知県です。大学・大学院時代は京都にいて、大学院在学中に『人生を狂わす名著50』(ライツ社)という本を出し、それから書評家として活動しています。最近では『それを読むたび思い出す』という、初めてのエッセイ集を刊行して、その中にブックオフの思い出も書いています。

谷頭三宅さんと僕とでは、生まれや書いているものはかなり違うんですが、それでもブックオフについては同じような経験をして、同じことを感じている気がします。とくに、ブックオフに代表されるチェーンストアが、地域の文化や共同体を壊していく、という紋切り型の批判に対する疑問

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