古本屋チェーンとして一世を風靡し、現在ではCDやDVD、家電やブランド品なども扱う総合リユース店として知られるブックオフ。創業当初は「出版文化を破壊する」存在として批判されることもありましたが、とくに地方で果たした文化的な役割は大きく、今では10~30代の若者から「エモい場所」「原風景の一部」として支持を集めています。
ライターでチェーンストア研究家の谷頭和希さんが、現代日本におけるブックオフの意義・功績について批評・分析する連載『ブックオフで生きてきた』。第5回となる今回は、ブックオフと公共図書館を比較することで、ブックオフが持つ公共性について改めて考え直す回です。
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ブックオフと図書館
ブックオフの存在によって、少なからぬ人がさまざまな本やコンテンツとの出会いを果たしていることはこれまでの連載で見てきた通りだ。物理書店ならではの面白さがそこにはある。
しかも、その空間はTSUTAYAやヴィレッジヴァンガードのような、店側が「このように商品を売り出したい」「このような空間を作りたい」と用意する、意図のある空間とは違い、さまざまな商品が買い取りによって偶然に入り込み、ただ並べられる空間である。
そのような多様性に満ちた空間がブックオフであり、それこそが、さまざまなクリエイターを魅了している1つの理由だと考えられる。
じつは、物理書籍と出会える空間で、このような多様性に満ちた空間がもう1つある。図書館である。図書館と一口に言っても幅広いが、ここでは公共の図書館のことを示している。
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