公共図書館の本の並びは「日本十進分類法」という独自のルールによって配列され、基本的には市民から要望があった書籍を蔵書として取り入れる。
TSUTAYAやヴィレッジヴァンガードのような選別は行われない。なぜならば、それは「公共」の利益のために行われているものであり、すべての住民のための本棚だからである。当たり前のことかもしれないが、これは日本国憲法の精神に基づき、社会教育法や図書館法で定められていることである。
そう考えると、図書館もまた、多様性に満ちた空間であり、そこには公共性があることになる。ブックオフに置かれたさまざまな本で偶然の出会いを果たせるように、図書館もまた、物理的な書籍との偶然の出会いを楽しむことができるのだ。
図書館的「公共性」の難しさ
では、その違いはどこにあるのだろうか。それは、また、「意図のあるなし」に関わってくる。
先にも確認したとおり、図書館は「公共」施設だ。そしてそのために、そこで置かれる本には多くの選定基準が設けられている。つまり「意図」を持たざるをえない。
一例として全国学校図書館協議会が発表している選定基準から、「まんが」のいくつかの項目を引いてみよう。
(4)ストーリーの展開に無理がないか。
(5)俗悪な表現で読者の心情に刺激を与えようとしていないか。
(6)悪や不正が讃えられるような内容になっていないか。
(8)学問的な真理や歴史上の事実が故意に歪められたり、無視されたりしていないか。
(9)実在の人物については、公平な視野に立ち、事実に基づき正確に扱われているか。
(12)造本や用紙が多数の読者の利用に耐えられるようになっているか。
(13)完結されていないストーリーまんがは、原則として完結後、全巻を通して評価するものとする。
もちろん、これは学校図書館向けの基準であるためすべての図書館に通じるわけではないし、一般の図書館よりもやや厳しい選定になっていることは確かだろう。
一般の図書館すべてに当てはまるわけではないが、多かれ少なかれ、図書館は「公共性」という目的があるから、選書の選定をしなければならない。図書館は多様性を担保する空間ではあるが、その多様性を担保するために、意図を持った図書の選定が必要になってくるのである。
しかし、図書館の資料選定が逆にトラブルを引き起こすこともある。
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