三宅:高知って流通が遅い場所で、当時も漫画の新刊がだいたい遅れて入ってきてたんです。また、首都圏の書店なら置いてあるような本がないこともあって、自分が本や漫画が好きなのに、それにアクセスしづらい状況でした。だからこそ、本好きとしては新旧やジャンルを問わず、さまざまな本が雑多に置いてあるブックオフがあって、とてもありがたかったんです。
谷頭:東京で過ごしているとわからなくなりがちですけど、「文化を摂取できる場所が、TSUTAYAとブックオフぐらいしかなかった」人ってたくさんいますからね。それに、そもそも生まれた時からチェーンが側にある世代としては、「町の固有性を……」と批判されても「そう言われても、自分はあそこのチェーン店が原風景の一部だし、思い入れもあるし」となってしまう。
三宅:本当にそうなんですよ!
谷頭:ちなみに、『ドンペン』を発売したのは今年の2月なんですが、三宅さんの『それを読むたび思い出す』も2月発売で、執筆期間を考慮してもほぼ同じ時期に書いているんです。同時代性を感じますし、上の世代の人と僕らの世代では、ブックオフを始めとする、チェーンストアに対する感じ方も変わってきているんじゃないかと思っています。
本好きの子どもたちの味方な「105円コーナー」
谷頭:そういうチェーンストア批判があることを踏まえたうえで、本連載はブックオフを再考するという企画なんですが、そもそもブックオフとの出会いはいつだったんですか?
三宅:出会ったというよりも、気づいた時にはあった、という感じです。小学校2年生のとき、はじめてひとりで漫画を買ったのもブックオフだったんですよ。京都に引っ越してもブックオフが近くにあって。いつもの集合場所の横にブックオフがあったので、つねに行ってましたね。
谷頭:ブックオフの歴史を見ても、直営1号店のオープンは1990年で、2000年には500店舗に達していたので、30代中盤ぐらいまでの人はわりと「気づいた時にはあった」「原風景の一部になっていた」んだと思います。そこは、40代以降の人との違いですよね。
僕はと言うと1997年の生まれで、東京・池袋で育ったんですが、三宅さんと同じように、気づいたらブックオフの中にいましたね。家族がよく行っていたので、自然と足を運ぶようになっていた。中高生だと、本と出会う場所として学校や地域の図書館もあるけど、揃ってない本も多いですよね。シリーズ物だと途中が欠けてたり……そうするとブックオフの出番になる。
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