中東・北アフリカ革命は連鎖するか--安易に“ドミノ”と騒ぐべきではない《田村耕太郎のマルチ・アングル・ビジョン》

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「中東が危ない。原油市場に危機が来る」などと騒ぐ英米メディア。それを鵜呑みにしてさらに拡大解釈し、騒ぎを拡散する国際派と称する日本人たち。中にはイランを通り越して北朝鮮や中国まで伝染するという人もいる。
 
 本当にそうだろうか? 彼らの発言や見出しを見て、驚くばかりだ。何かほかの意図があるのだろうか?

イラン人記者の冷静な分析

それはそうだろう、意図がないわけはない。
 
 メディアは数字を取りたい商業主義だし、日本の国際派の多くは市場の乱高下が大好きな金融筋とつながっている。ということで、今後の中東情勢の拡散を予測するに当たって、前回も試みた分析を少しくどくやってみたい。
 
 その前に北アフリカの政変の他国への伝染について、非常に有意義な話を聞く機会があったので、それを紹介したい。

今週、非常に興味深いセミナーが米ハーバード大学の政治学部であった。それはニューヨーク・タイムズの在テヘラン、イラン人記者を招いての“エジプトのデモがイランに与えるインパクト”と題したものだ。その記者は非常に有名な人物で、CNNやBBCでも引っ張りだこだ。

彼女の結論から言うと「エジプトやチュニジアで起こったことは、簡単にはイランをはじめほかの中東諸国には当てはまらない」ということ。「中東や北アフリカやイランをひととくくりにせずに、それぞれの細かい違いにまで目を向けて分析することが重要!」と、数値データを提示しながら述べてくれた。

興味深かったのが、イラン最強の治安部隊である“革命防衛隊”ついての説明だ。彼らの使命は、その名のとおり“次の革命”を防ぐことだ。彼らは国会に議席を持ち、建設業、自動車製造業、石油精製業等の事業を行って収益を上げている。経済的にも非常に豊かで国政への発言権も確保されている。現体制に対する忠誠心は非常に強い。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事