中東・北アフリカ革命は連鎖するか--安易に“ドミノ”と騒ぐべきではない《田村耕太郎のマルチ・アングル・ビジョン》


 私は、主権国家は、そう簡単に転覆しないと思う。国家は、財政も、いわゆる“暴力装置”も保持している機関である。私が考える「政変が起こる条件」なるものを列挙してみる。

(1)限られた政治一家による長期独裁
(2)若年人口急増による人口増加
(3)構造的な社会の亀裂
(4)インターネット・ソーシャルメディアの検閲能力不足
(5)表現・集会の自由の蓄積
(6)組織化された反政府市民組織・野党の存在
(7)政権に対する忠誠心の低い警察・治安部隊
(8)人口1人当たりの石油収入が低い

これらの条件に「経済・金融のグローバル化」という環境変化が重なり、若年失業率の増大と食料価格高騰が中東・北アフリカを襲った。

倒れたチュニジア、エジプトとも「ベンアリ一家、ムバラク一家による独裁」が当てはまり、民衆から見て統治の正当性が疑わしい。倒れつつあるリビアも(1)に該当する。政権は腐敗し、その情報が共有され、失業やインフレに苦しむ民衆の怒りに火をつけた。

(2)は中東・北アフリカ全般的に言えることである。ネットリテラシーが高く、失業率も高い若年層がデモの起爆剤になった。

(3)は格差や宗教対立のことを指す。豊かさが比較的平均的であるバーレーンではシーア派とスンニ派の宗派対立が事態を深刻化させている。富も権力も独裁している一族と失業に苦しむ多数の若者との亀裂がチュニジア、エジプトで政変を起こし、リビアにも波及している。

(4)の“ネットの検閲能力”は早期にデモの芽を摘めるどうかにかかわることだ。どれだけ初期の首謀者を突き止められるかに体制側の命運がかかっている。「インターネットの敵」とまで言われ、厳しい検閲体制を敷いていたはずのチュニジアだが、ハッカー集団の攻撃に遭い検閲体制を破壊されていた。エジプトの検閲能力はさらに低く、ネットを遮断してしまうくらいの幼稚な対応しかとれなかった。

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