コロナ禍でも都心部へ流入、「脱東京」のまやかし 東京の要介護認定者は鳥取の人口を超える

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巨大都市・東京はますます膨張している(写真:maroke/PIXTA)

朝の情報番組がコロナ特集をやらなくなって久しい。世の中はウィズコロナが当たり前で、国内に関しては行動制限もほとんどないに等しい。そうした中で、ひとつの現象が再び顕著になり始めている。東京一極集中である。

総務省の住民基本台帳人口移動報告によると、今年に入ってからの東京都の日本人の転入超過数は、1月383人、2月359人、3月3万3340人、4月4831人と4カ月連続の転入超過となった。また3月の転入超過数は昨年3月よりも3977人増となった。

「脱東京」の動きがストップ

昨年は5月以降も緊急事態宣言が断続的に9月末まで続いたことで、多くの企業がリモートワークを実施し、飲食店や観光関連などサービス業は事実上の休業状態に追い込まれた。コロナ禍の影響による収入減、マンション価格の高騰など住宅コスト負担増といった要因も相まって、1~2月、そして5~12月と転出超過の月は10カ月間となった。

そんな状況からすると、今年に入ってからの動きは明らかに変化の予兆を示している。3月21日にまん延防止等重点措置が解除されると、社会のムードが変わった。大学の対面授業も再開、通勤者や出張者が増え、街や新幹線に活気が戻りつつある。GW期間中の観光地の人出大幅増、ビール類の販売額(5月)の回復など、少しずつだが世の中の動きがコロナ前に近づいてきている。

問題は5月以降の人口移動の結果がどう出てくるか。この先、よほど感染状況が深刻化するようなことがない限り、ウイズコロナ下での経済活動や旅行や観光を含めた人々の行動はコロナ前の水準に向けて回復していくのではないか。そうした前提で考えると、5月以降の人口移動の数値は昨年とは一転し、再び転入超過が続く可能性もある。

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