ちなみに、最初からそんなことを目指していたわけではまったくなく、いつの間にか、フト気づけばそんなとんでもないことになっていたのだ。
無類の「調味料好き」だった私
そもそも私は「料理好き」な人の多くと同様に、無類の「調味料好き」であった。調味料マニアと言ってもいい。東に西に珍しい調味料があると聞けば矢も盾もたまらず早速買いに走っていた。
なのでわが台所の調味料入れは常に世界のあらゆる調味料で満杯。ナンプラーやらオイスターソースやらバルサミコ酢やらコチュジャンやら豆板醤やら甜麺醤やらバジルペーストやらトマトビネガーやら、むろん、日本の醤油、しょっつる、米味噌、麦味噌、豆味噌、みりん、甜菜糖に黒糖、米酢にきび酢に酒粕酢、もうほんと、なんでも持ってましたね。
ちなみに今も調味料への興味がなくなったわけではなく、日本だろうが世界だろうが旅へ行けばかならず市場やスーパーで調味料の棚をしげしげと眺めるタイプ。
そんな私がですよ。世界の調味料どころか、日本の基本調味料である「さしすせそ」すなわち「砂糖、塩、酢、醤油、味噌」の中でも「塩」しか買わなくなるなんて、自分が一番ビックリせずにいられようか。
さらにビックリなのは、それでもまったくどうということもなく、日々ニコニコ機嫌よく料理を作って「うまいうまい」と食べているという事実である。
なので、いったいなぜこんなことになったのか? そしていったいどうやって「塩」しか買わずに日々の料理を具体的に成り立たせているのか? ってことを今回は書こうと思う。
念のためですが、決して皆様もこのようなことを目指すべきなどと言いたいわけでも、強くお勧めしているわけでもない。食の好みは人それぞれだし、何が正しくて正しくないなんていうことがあるわけないのだから。
ただ「おいしいもの」の情報がどこまでもあふれかえるこの世の中では、ついつい「トリュフ塩」が絶品などと聞けばどうしたってそれを買わねばならん、つまりはエンドレスに話題となる「絶品」をどこまでも手に入れなきゃ自分だけウマイもんを食べ損なっているような人生損しているような気になってしまうわけです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら