(第52回)中国の大学卒業者が過剰であることの意味

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 では、論文数や大学ランキングに示される教育・研究面はどうか? これまで述べたように、学術論文数で中国は日本とほぼ同数になった。英教育専門誌(THE)の大学ランキングで、上位200位以内に入った大学も、中国と日本とではほぼ同数である。表に示すように、これら有力大学の学生数も、中国が約17・2万人で日本が約10・8万人だから、大きな差はない。

つまり、人口1人当たりで言えば、論文数も一流大学の学生数も、中国が日本の10分の1から6分の1程度になったということである。これは、1人当たりGDPにおける日中の格差とほぼ同じだ。だから、それほど驚くべきことではない。

今後、中国が日本を量的に凌駕しても、それは中国の総人口が多いことの反映だから、当然だ。最終的には論文数や上位200位内大学数(あるいは、そこで学ぶ学生数)が日本の10倍まで増加しても、不思議ではない(もちろん量的な大きさ自体が問題になる側面はある。しかし、現代世界で規模そのものが優位性を持つことは、軍事面を除けば、ない)。

中国の大学卒業者数は日本の12倍

ところが大学卒業者の総数は、中国が圧倒的に多いのである。08年の大学卒業者総数は559万人で、07年から64万人増加した。大卒者の数は増え続けており、09年には611万人、10年には630万人になった。これに対して、日本の大学卒業者数は、09年で56万人、10年で54万人である。中国の大学卒業者は日本の12倍もいるのである。

これは何を意味しているのだろうか?


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