08年の再来?足元で加速「世界食料危機」の深刻度 ウクライナ侵攻で小麦やコメ、肥料価格も高騰

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アメリカ農務省が3月末に発表した農家の作付け意向調査によると、肥料を相対的に多く使うトウモロコシの作付面積は4%減る見通しだと伝えられている。すでに供給懸念からトウモロコシの国際価格は10年ぶりの高値圏で推移している。

世界的に肥料の需要が増しているのは、南米でトウモロコシや大豆の増産が進む影響があるとされる。それも中国が養豚飼料として穀物輸入を増やしていることが背景にある。

その中国でも、尿素肥料の国内価格の上昇で輸出制限に踏み切った。これまたインドでは、肥料価格が上昇すると豆類や油糧種子の作付けが減る恐れがある、とするアメリカの調査会社の指摘もある。

懸念される原料や穀物の世界的争奪戦

アジアでも肥料の使用を減らすことからコメの生産量が10%減り、5億人相当の供給が失われる、との見通しを国際稲研究所(IRRI)が示している。

肥料や飼料の大半を海外に依存する日本にとっても、原料の高騰や供給不足から中国などとの世界的な争奪戦となれば、国内の農畜産業にも影響する。そこに円安、エネルギー価格や海上運賃の値上がりが拍車をかける。2008年の食料危機を上回る深刻な状況に世界が陥り、その波が今回は日本をも直撃する。

2008年の食料危機は、秋にリーマンショックが世界を襲ったことで、食料価格の落ち着くきっかけとなった。ただ、2010年にはロシアを干ばつが襲い、不作となったことから穀物の輸出禁止措置をとった。これで再び食品価格が高騰したエジプトをはじめ北アフリカで「アラブの春」が湧き起こった。

ウクライナでの戦況が長引くことによって、世界の食料危機と争奪戦は深刻化する。世界情勢も不安定となる。それはすでに第3次世界大戦に突入したと表現しても言い過ぎではないはずだ。

青沼 陽一郎 作家・ジャーナリスト

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あおぬま よういちろう / Yoichiro Aonuma

1968年長野県生まれ。早稲田大学卒業。テレビ報道、番組制作の現場にかかわったのち、独立。犯罪事件、社会事象などをテーマにルポルタージュ作品を発表。著書に、『オウム裁判傍笑記』『池袋通り魔との往復書簡』『中国食品工場の秘密』『帰還せず――残留日本兵六〇年目の証言』(いずれも小学館文庫)、『食料植民地ニッポン』(小学館)、『フクシマ カタストロフ――原発汚染と除染の真実』(文藝春秋)などがある。

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