ロシアによるウクライナへの侵攻によって、世界が食料危機になる。そう言っても過言ではない状況が起きている。それも過去に世界が体験した事情と比較しても、より深刻であることがわかる。日本もその波にのみ込まれるはずだ。
まず、小麦の国際価格が上がっている。ウクライナは世界第5位、ロシアは第1位の小麦の輸出国で、両国で世界の小麦輸出量の約3割を占める。この小麦の供給が不足する恐れから価格が上昇した。
実際に農地が荒らされているばかりでなく、黒海の港が閉鎖されたことで倉庫に保管されている小麦が運び出せずにいる。それにトウモロコシも両国で世界の輸出の約2割を占める。国連食糧農業機関(FAO)が今月6日に明らかにしたところによると、ウクライナから約2500万トンの穀物が輸出できない状況にあるとされる。
この状況に振り回されるのが、両国に小麦の輸入を依存する中東やアフリカの諸国だ。両国に70%以上を依存する世界最大の小麦の輸入国であるエジプトでは、輸入価格の高騰にパンの価格統制に踏み切った。
日本の小麦価格に影響が出てくるのはこれから
日本でも、政府が輸入小麦を買い付け、製粉会社に売り渡す「売り渡し価格」が、この4月から2021年10月期と比べて平均17.3%も引き上げられた。ここにエネルギー価格の高騰や円安も加わって、日本の食品は値上げが相次ぐ。
ただ、4月の売り渡し価格の引き上げはウクライナ侵攻の影響によるものではない。日本が依存する北米産の小麦が昨年の夏の干ばつで不作となったこと、それにロシアが自国通貨のルーブル安から食料価格が上昇。昨年12月、国外流出を防ぐために小麦に輸出関税をかけると表明したことが国際価格に影響した。ウクライナ侵攻の影響が及ぶとしたら秋以降になる。
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