それだけ、児童生徒数当たりの教職員数を増やすことを、国の予算では認めているのである。
それでも、「教員不足」という。
では、何が問題なのか。前述のとおり、全国的に「教員不足」が起きているわけではないから、予算をカットして採用する教員数全体を減らし過ぎたというわけではない。むしろ、「35人学級」などの名目をつけて学校により多く教員を配す必要となる状況を作り出した一方で、教育委員会が必要なところに教員を柔軟に配置できなかったことによって不足が生じている。
念を押すが、教員人件費に充てる予算は、児童生徒数当たりの教職員数を増やす形で認めているのである。目下、教員不足が真に深刻なら、一時的にでも「35人学級」や「教科担任制」を貫徹するのを止めて、足りなくならないように教員を配置すればよい。
なにせ、新型コロナ前の2019年度まで、「教科担任制」はなかったし、小学2年生以上は「35人学級」ではなかったけれども、教員不足が教育に重大な支障は来していなかったのだから。
外部専門人材の活用は重要
「教員不足」を解消する方策はほかにもある。それは、外部専門人材を教務で活用したり、地域住民と連携して教員の業務負担を軽減したりすることがある。
財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会では、以前から、外部人材を活用すべく、教員免許状を持っていないが優れた知識経験を有する社会人が教壇に立てるようにする「特別免許状」をより一層活用すべきと提言していた。
2022年4月に、文科省は、この特別免許状の積極活用を地方自治体に依頼したことは、これと整合的なものとして評価できる。
教育を充実させることは、今の子どもたちにとっても、日本の将来にとっても、極めて重要である。そのためにも、教員をどのように配するかにも、しっかりと工夫することが必要だ。
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