池上彰「報道の自由が大切な理由を知ってますか」 中国の情報統制で、世界中で多くの人が犠牲に

印刷
A
A
世界の報道の自由度ランキングで180位中177位の中国。新型コロナの感染拡大を訴えた医師は戒告処分になった(写真:Jorm Sangsorn/Getty Images Plus)
メディアが多様化し、フェィクニュースなどがはびこる現代。情報とどう付き合っていくのが適切なのでしょうか。ジャーナリストとして活躍してきた池上彰さんは、「世界を正しく見る方法」を身につけ、メディアリテラシーを高めることが大切だと訴えます。
愛知学院大学での人気講義「ジャーナリズム論」を書籍化した3月発売の書籍『何のために伝えるのか? 情報の正しい伝え方・受け取り方』から、抜粋・再構成して紹介します。

もう1つ考えたいのが、「世論調査」についてです。毎週のようにどこかのメディアが世論調査の結果を出しています。

たとえば最近(2021年7月の本講義時点)でいうと、朝日新聞は、菅内閣支持率が発足以降最低の31%だったと報じています。毎日新聞が報じた内閣支持率は30%、フジテレビ系列のFNN(フジニュースネットワーク)と産経新聞社の合同調査では39 %と出ています。メディアによってずいぶん違うでしょう。

世論調査はどのように行われているのか

世論調査というのはどのように行われているのか、これをちょっとお話ししたいと思うんですね。

私が学生時代、実は新聞社の世論調査の調査員のアルバイトをしたことがあるんです。選挙が始まると「あなたはどの政党を支持していますか」という世論調査が行われます。私が大学生の時代だからもう50年前、そのころはみんな電話帳に自分の家の電話番号を記載していたのね。だけどそのときは電話での世論調査ではなく、まずは住民基本台帳で無作為抽出をしていました。何百人に1人をランダムに選ぶ、これが統計学的に意味のあることなんですね。

新聞社へ行くと、抽出された対象者の住所と名前が書かれたものを渡されます。それをもとに対象者の自宅に行って、「あなたはいまの内閣を支持しますか」とか「どの政党を支持しますか」とか聞いてくる。そして新聞社に戻って、世論調査の担当者に提出するんです。

そうすると担当の新聞記者がね、「君、ここへどうやって行ったの?」って聞くわけです。「バスに乗って行きました」。「ふーん、バスで行ったんだ。どこの停留所で降りたの?」って、さらに聞かれる。

つまり大学生のアルバイトの中にはいい加減な調査をするヤツもいるわけ。1軒1軒訪ねていくのって面倒でしょう。いまなら車を持っている大学生もいるけど、私が大学生の時代、車を持っている学生なんていないから、路線バスに乗っていくわけだよね。「どうやって行ったの?」なんてしれっと聞きながら、本当にこの学生は調査をしてきたのか、きちんと行かずに勝手に自分で書き込んだのかってことをチェックするわけです。こうやって正確性を担保するんだなと思いました。

次ページ電話帳に電話番号を掲載しない人が増えてきた昨今では…?
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
トヨタが新型クラウンから始める販売改革の衝撃
トヨタが新型クラウンから始める販売改革の衝撃
ソフトバンク「20兆円ファンド」急ブレーキの難局
ソフトバンク「20兆円ファンド」急ブレーキの難局
平気で「サラダ」を食べる人が知らない超残念な真実
平気で「サラダ」を食べる人が知らない超残念な真実
宅配ドライバー「多重下請け」で疲弊する深刻問題
宅配ドライバー「多重下請け」で疲弊する深刻問題
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
  • 新刊
  • ランキング
東洋経済education×ICT