池上彰「報道の自由が大切な理由を知ってますか」 中国の情報統制で、世界中で多くの人が犠牲に

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しかし、そんなことをやっているとものすごく時間と手間がかかるでしょう。そこで電話での世論調査というのに次第に変わっていくわけです。これなら短期間でできますからね。

以前はみんな電話帳に電話番号を載せていたから、全国まんべんなく、市外局番で人口比に応じて抽出します。たとえば078で始まるところは何人、03は何人、06は何人という具合です。そこに片っ端から電話をかけて調査するというやり方をとっていたんですね。世論調査は年齢や家族構成、地域など偏りが出ないようにしなければなりません。

しかしだんだんプライバシーの侵害になることを恐れて電話帳に電話番号を掲載しない人が増えてきます。するとさあ、どうやって調べるのか。さらに携帯電話が広がってきたら、これはメディアが頭を抱えるわけですね。サンプル収集ができない。携帯電話だと、どこに住んでいる人なのかもわからないでしょう。さらに若い人は固定電話なんて持っていない。携帯電話しか持っていないとなると、世論調査が実現できるんだろうかという大きな問題に直面しました。

その結果、現在、基本的にどのような調査が行われているかというと、RDD方式といって、コンピューターに自動的に電話番号を作成させるんです。このときもバランスをとるために、固定電話の人を何人、携帯電話の人を何人、たとえば5対5にするか6対4にするか、それはそれぞれの新聞社やテレビ局によって方式が違うんですが、だいたい携帯電話と固定電話5対5ぐらいに分けて、それぞれ1000人くらいを選び出します。

電話番号をコンピューターがランダムにつくり出すので、そこに電話をかけていくんです。

若者の声は反映されているのか

このとき、コールセンターの調査員が電話をかけるという新聞社もあれば、自動音声でやるところもあります。今回の毎日新聞の調査をみると、自動音声でやっていますね。コンピューターがつくり出した番号だから、実際に電話をかけると存在しない電話番号ってことがけっこうあります。「この電話は使われておりません」となると、次にかける。次へ次へとかけていって、全体として1000人なら1000人を確保するまでやるというやり方をとっています。

携帯電話の場合は、警戒して出てくれない人もいるわけだよね。その場合は、時間を変えて複数回かける。あるいは固定電話にかけると、どこかの会社の代表電話だったりすることもある。すると個人宅にかかるまでかけ続けるんです。

固定電話に出てくるのはたいてい主婦だったりお年寄りだったりしますから、偏りが出るんじゃないかと思う人もいるでしょう。そこもきちんと若い人の意見が反映されるようにするんです。

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