マレーシアで英語を学ぶ価値はあるのか 現地にある語学教室の経営者に聞いてみた

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――実践を中心にするということでしょうか。

フィリピンでも、もともと英語の基礎があって、なおかつ授業の外で積極的に英語を使う人は、たとえ2週間の留学でも、ものすごく伸びます。一方で、マレーシアに数年住んでいる駐在の方でも、会社では通訳を使い、プライベートでも日本人と付き合っていると、まったく話せるようにはなりません。それはオーストラリアや米国でも同じだと思います。結局のところ、どこに住んでいようが、受け身ではダメなんです。ですから、学校以外でいかに時間を作るか。たとえば、趣味の活動で、いかにローカルの人と楽しめるか、ということに尽きます。

子どもが通う学校の選択肢は少ない

――「子どものための英語学校が少ない」と嘆く声も聞こえます。

子どもについては、さらに学校の選択肢はそんなに多くありません。ただ、「子どもの英語教育のためにマレーシアにくる」というのには、実はあまり賛成ではないんです。子供の場合は、まだ日本語が身についていませんよね。完璧なバイリンガルというのはとても難しくて、母語も外国語も中途半端になってしまう恐れもあると思います。

マレーシア人を見ていても、多くの人の言語に凹凸があり、どの言葉も決して完璧というわけではないんです。日本人の親が想像している、どの言語も生かして世界で活躍できる人に、という理想を実現するのは容易ではない。親の側がそこを理解していればよいと思うのですが。たとえば、日本語が中途半端になって、ビジネスでは使い物にならない、ということも起きるのではないかと思います。

マレーシア・クアラルンプールの街並み(写真:leungchopan/Imasia)

――インターナショナルスクールに通う子どもが増えていますが、どのようにご覧になりますか。

見ていると、親の意思でついてきたお子さんと、海外へ行くチャンスをもらえたと思って頑張るお子さんとだったら、後者のほうがずっと伸びます。あとは大人と同様、授業以外でいかに英語を使うチャンスを作るかですよね。本を読んだり、映画を見たり、という生活が大事です。

――授業はきっかけに過ぎないと。

語学って急には結果が出ません。基礎をつけるにしても、結局単語を覚えたり、本を読んだりと地道に努力していくしかないんです。そこはぜひ頭に入れて、うまくマレーシアを活用してほしいと思います。 

野本 響子 ジャーナリスト

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のもと きょうこ / Kyoko Nomoto

東京都立青山高校、早稲田大学法学部卒業。安田火災海上保険(現損保ジャパン)を経てアスキー入社。『MAC POWER』(アスキー)、『ASAHIパソコン』『アサヒカメラ』(朝日新聞出版)の編集者を経て現在フリー。『僕がアップルで学んだこと』『企業が『帝国化』する』(ともに松井博著/アスキー新書)編集。著書に『いいね!フェイスブック』(朝日新聞出版)、『マレーシアの学校の○と× アジア子連れ教育移住の第一歩』(Kindle)ほか。1990年代半ば、仲良くなったマレーシア人家族との出会いをきっかけに、マレーシアの子育てに興味を持ち、現在クアラルンプール郊外に長期滞在中。趣味はオーケストラでの楽器演奏。

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