高島:ときどき社員と一緒にフットサルをやっているのですが、通常、試合が終わった後は、みんなで一緒に写真を撮ったり、食事をしますよね。でも、僕が負けたときは、さっさと帰ってしまいます(笑)。
楠木:子どもみたいですね(笑)。
高島:そうです。よく社員に怒られています。でも、僕にしてみれば、負けているのにみんなで写真を撮ったり、ご飯を食べるなんて信じられないわけですよ。そこは、ムリに合わせません。
ビジネスにおいて、「負けず嫌い」といかに折り合うか
楠木:ただ、フットサルの試合は、その日で終わるわけですよね。一方、会社の経営というのは続いていく。これは「負け」とは違うかもしれませんが、乗り越えられないことがあったときは、どういうふうに折り合いをつけるのですか。家に帰るわけにはいかないでしょう(笑)。
高島:さっき言ったように、楽しもうと工夫をするわけです。会社を始めてから14年経つのですが、いまだ心から勝ったと思った瞬間はありません。ふがいない思いが蓄積されているというのが実態と言っていいくらいです。しかし、その状態で日々を過ごすとなると、僕自身もつらいですし、周りの社員はもっとつらい。なので、楽しむようにしています。事業を展開するプロセスは楽しいですし。ただ、根っこには悔しいという感情がいつもある。
楠木:そこには、簡単に勝てないほうがいい、という感情はないのですか。
高島:それはありません。
楠木:そこは好き嫌いの本当に微細なヒダヒダの部分ですね。高島さんが起業をした時代は、先ほど言ったように、うまいことやって成功しようという人が多かった。でも、高島さんはそれでは満足ができない。自分が満足することと、世の中に役立つことを両立させるビジネスモデルを考える。そして、それは当然のことながら困難がつきまとうのだけれど、ほかの誰もやらないから、自分でやることにする。だからといって、苦労を地道に積み重ねるというよりは、仕事を楽しむという基本姿勢。そうした一連の好き嫌いが、結果的に、オイシックスのビジネスを形作っているのだと思います。(次回へ続く)
(構成:松岡賢治、撮影:尾形文繁)
楠木教授の著書『好き嫌いと経営』好評発売中
オイシックス・ラ・大地の株価・業績 は「四季報オンライン」で
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら