将来は大名になりたかった?
高島:実は、楠木先生の『「好き嫌い」と経営』は、イギリスへ出張に行ったときに読みました。内容が面白くて、それをツイッターで書きました。
楠木:それを僕がリツイートして、今回の対談につながったという次第です。僕が所属している一橋大大学院国際企業戦略研究科は、独自性のある優れた戦略を実践し、その結果として高い収益性を達成・維持している事業を表彰する「ポーター賞」を主催しています。オイシックスは2008年のポーター賞受賞企業です。それもあって、以前から、高島さんとはちょくちょくお目にかかる機会がありました。
高島:今回、こうしてまたお会いしてちょっと意外だったのですが、対談をする場所は普通の場所なのですね。本日は、弊社の会議室ですし。
楠木:はい、だいたいは撮影用のスタジオとか会議室ですね。
高島:本を読むと、楠木先生が経営者の方々の本音を上手に聞き出しているので、どこでやっているのだろう? 飲み屋でやったりしているのかな、とか思っていたもので(笑)。
楠木:そう言われるとうれしいですね。『「好き嫌い」と経営』には14人の経営者に登場していただきましたが、僕がその会社の手伝いをしている関係にある経営者とか、以前からお仕事を一緒にしていたりとか、すでにお互いにわりとよく知っている方々がほとんど。それで、多少、本音の部分が聞けるということはあるかと思います。そうでないと、個人的な好き嫌いに踏み込んだ対話はやりにくいですからね。
高島:中身で衝撃を受けたのが、経営というのは、これまでさんざん、「いいか悪いか」について、理性に基づいて語られてきました。それがこの本では、「好きか嫌いか」という感情で語られている。感情で経営を語っていいんだ、という発見がありました。だから、しゃべっている経営者の人は、みんな生き生きとしている。
楠木:まさに、僕が言いたかったのはそこです。この本を出したかいがあります(笑)。そこで、今回は高島社長の好き嫌いをお聞きしたいと思います。事前に、ご著書である『ライフ・イズ・ベジタブル』とか過去の記事などを拝読しましたが、まず、気になったのは、小学校の卒業文集で、将来なりたいものとして、「大名」と答えていらっしゃる。子どもの頃から、かなりやる気満々ですね(笑)。
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