マンガの影響で「マッキンゼー」を辞めた男 高島宏平・オイシックス社長の好き嫌い(上)

✎ 1〜 ✎ 18 ✎ 19 ✎ 20 ✎ 21
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

高島:そこから始まりますか(笑)。おそらく、寂しがり屋だったからだと思います。僕は、小さい頃から転校を繰り返していました。幼稚園を2回、小学校を3回、それぞれ変わりました。だから、仲間を作りたい、チームを作りたいという欲求が強くて、部活などで仲間の中心にいる人という意味を込めて、大名になりたいということをいったのではないでしょうか。

マンガのストーリーに影響されてマッキンゼーを退社

楠木:高島さんは、大学院時代に起業をされていますよね。で、その会社の名前が「Co.HEY!」。自分の名前を会社名にされている。わりと「大名感」満載(笑)。

1973年神奈川県生まれ。1998年東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修了。大学院時代に、自らベンチャー企業を立ち上げ、インターネット事業を手掛ける。1998年大学院修了と同時に、マッキンゼー日本支社に入社。Eコマースグループのコアメンバーとして活躍。2000年6月にインターネットを通じて、安全でおいしい食材を一般家庭に宅配するオイシックス株式会社を設立。同社代表取締役社長に就任。2007年世界経済フォーラム(ダボス会議)が選ぶ「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出される。TABLE FOR TWO International理事、東の食の会代表理事を務める。著書に『ライフ・イズ・ベジタブル』(日本経済新聞出版社)がある。

高島:いやー、大学院生時代のことは、なかったことになっているんです(笑)。当時は、起業をしたいというよりも、仲間とインターネットを使って、何かをしたかったのです。サークル活動もさんざんやったので、今度は会社にしてみようか、という程度の動機です。

楠木:なるほど。仲間といろいろとやることが好きで、その自然な延長に起業があったということですね。

高島:そうなのです。

楠木:なぜ、この話を最初に聞いたのかと言いますと、これもご著書に書いてあったのですが、『サンクチュアリ』(原作:史村翔)というマンガに影響を受けて、オイシックスを始められたとか。これは本当ですか。

高島:はい、かなり影響を受けています。

楠木:僕はマンガを読まないので知らないのですが、どんなストーリーなのですか。

高島:幼なじみで親友の2人が、日本をよくするために、政治家とヤクザになって、表の世界と裏の世界の両面からのし上がっていくという、いかにもマンガ的なストーリーです。日本をよくするために、いったん別々の道を歩んで、再び力を合わせるという部分に共感をしたわけです。

楠木:高島さんの経歴を見ると、東大に入って、さらに大学院に進んで、そこでベンチャー企業を立ち上げる。その後、マッキンゼーに入社。ベンチャーの仲間も、IBMに入社したりする。それぞれ仕事のスキルをアップさせてから、会社を辞めて、一緒にオイシックスを立ち上げる――と、まあ実際はいろいろあったとは思いますが、はしょってなぞると、まさにマンガというかドラマのような展開ですね。マンガや映画に影響を受ける人は多いでしょうけど、本当にやってしまう人はあまりいませんよね。

高島:確かに聞いたことはないですね(笑)。

楠木:この経緯について非常に興味があるのですが、順を追ってお聞きします。最初の「Co.HEY!」ですが、これはそのまま継続しようとは初めから考えていなかったのですか。

次ページ軌道に乗ったビジネスを辞めた理由
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事