高島:そこから始まりますか(笑)。おそらく、寂しがり屋だったからだと思います。僕は、小さい頃から転校を繰り返していました。幼稚園を2回、小学校を3回、それぞれ変わりました。だから、仲間を作りたい、チームを作りたいという欲求が強くて、部活などで仲間の中心にいる人という意味を込めて、大名になりたいということをいったのではないでしょうか。
マンガのストーリーに影響されてマッキンゼーを退社
楠木:高島さんは、大学院時代に起業をされていますよね。で、その会社の名前が「Co.HEY!」。自分の名前を会社名にされている。わりと「大名感」満載(笑)。
高島:いやー、大学院生時代のことは、なかったことになっているんです(笑)。当時は、起業をしたいというよりも、仲間とインターネットを使って、何かをしたかったのです。サークル活動もさんざんやったので、今度は会社にしてみようか、という程度の動機です。
楠木:なるほど。仲間といろいろとやることが好きで、その自然な延長に起業があったということですね。
高島:そうなのです。
楠木:なぜ、この話を最初に聞いたのかと言いますと、これもご著書に書いてあったのですが、『サンクチュアリ』(原作:史村翔)というマンガに影響を受けて、オイシックスを始められたとか。これは本当ですか。
高島:はい、かなり影響を受けています。
楠木:僕はマンガを読まないので知らないのですが、どんなストーリーなのですか。
高島:幼なじみで親友の2人が、日本をよくするために、政治家とヤクザになって、表の世界と裏の世界の両面からのし上がっていくという、いかにもマンガ的なストーリーです。日本をよくするために、いったん別々の道を歩んで、再び力を合わせるという部分に共感をしたわけです。
楠木:高島さんの経歴を見ると、東大に入って、さらに大学院に進んで、そこでベンチャー企業を立ち上げる。その後、マッキンゼーに入社。ベンチャーの仲間も、IBMに入社したりする。それぞれ仕事のスキルをアップさせてから、会社を辞めて、一緒にオイシックスを立ち上げる――と、まあ実際はいろいろあったとは思いますが、はしょってなぞると、まさにマンガというかドラマのような展開ですね。マンガや映画に影響を受ける人は多いでしょうけど、本当にやってしまう人はあまりいませんよね。
高島:確かに聞いたことはないですね(笑)。
楠木:この経緯について非常に興味があるのですが、順を追ってお聞きします。最初の「Co.HEY!」ですが、これはそのまま継続しようとは初めから考えていなかったのですか。
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