「日本は和の国、和の心を忘れれば倒産する」

独断専行を嫌う国民性は、神代から

昭和の大経営者である松下幸之助。彼の言葉は時代を超えた普遍性と説得力を持っている。しかし今の20~40代の新世代リーダーにとって、「経営の神様」は遠い存在になっているのではないだろうか。松下幸之助が、23年にわたって側近として仕えた江口克彦氏に口伝したリーダーシップの奥義と、そのストーリーを味わって欲しい。(編集部)
 

 

もともと日本人は、農耕民族。だから、農作物、特に米作りは、天候に左右されるから、いつ田植えを始めるか、いつ刈りとるか。これはなかなか難しかったのではないかと思う。今は、技術も苗自体も改良が加えられているから、そのような難しさはないのかもしれないが、当時は、死活の問題だったとも言えるのではないだろうか。だから、村の農民たちが集まって、いつ、田植えをするか、いつ刈り取りをするか、まさに、上下の関係もなく、車座になって座り、相談したのだろう。それだけではない。日本の農地は、狭い。狭いから、お互いに、田植えにしても刈り取りにしても、助け合ったと思う。そういう相談で決めたり、助け合ったりする、そのDNAは、今日まで連綿として続いているのではないか。

それが、日本の民主主義の原点ではないかと私は考えている。要は、日本の民主主義の根底には、「衆知」と「思いやり」が流れていると言えるということである。

民主主義にみる、日本と西洋の違い

西洋の近代民主主義は、17~18世紀頃、「あらゆる拘束から個人の自由解放を求める」概念として生まれている。1789年のフランス革命も、それまでの王制、貴族制に対抗する対立概念として民主主義(Democracy)が考えられたと言ってもいいだろう。要は、西洋の民主主義は、ある意味では、「闘い」と「革命」を根底にしている。

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事実、その後、これから、共産主義や社会主義、全体主義が生まれてきたとも言われているのは、故なきことでもないだろう。

また、西洋の民主主義が、人工的な思想であるのに対し、日本の民主主義は、どちらかと言うと自然発生的な思想とも考えられる。

日本的民主主義の「衆知」と「思いやり」を一言で言えば、「和」。この「和」が日本の伝統精神の一つであり、この「和」を考えないと、今日でも、あらゆることが、うまくいかないのは間違いない。

ある年の正月3日、夜、話が、この日本的民主主義に及んだことがある。

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