大団円の「カムカムエヴリバディ」が意外に罪深い訳 朝ドラに張りめぐらせた“伏線回収"は薬か毒か

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気がつけばネット上には、このような不満の声が増えていました。これ以外にも、「伏線回収というより、ただ先延ばししているだけ」「けっきょく帳尻合わせしたようにしか見えない」「残り数週間で無理やり詰め込んでいる」などの拒否反応を示す声が見られ、「安子とるいの再会シーンに思いのほか感動できなかった」という人を生み出してしまいました。

大量の伏線がフラグに変わった弊害

「カムカムエヴリバディ」の放送中、SNSやメディアの記事には「伏線回収」というフレーズが何度も書き込まれていましたが、そもそも、どんなものなのでしょうか。

ドラマにおける「伏線」は、のちの物語につながるものを事前にほのめかしておくこと。あくまで「ほのめかす」というレベルのものを指していて、だからこそ「回収」されると視聴者に驚きを与え、感動させることができます。

その点で気になったのは、大量の「伏線」は回を追うごとに、一定の人々が「おそらくこれはこうだろう」と予測ができる「フラグ」に変わり、さらに「『フラグ』を見せておきながらけっきょく何でもなかった」という“ミスリード”が増えていたこと。特に近年は、「制作サイドが『伏線』として用意したものを考察好きの人々が『フラグ』として広めてしまう」というケースが増えていました。

「カムカムエヴリバディ」も、本来ならのちに「『伏線』だった」と気づいて楽しめるものが、出てすぐに「これは『フラグ』だろう」とみなされ、それが連続したことで、「またか」「思わせぶりすぎる」などと思われてしまうケースが増えていたのです。このような状態になってしまうと、話題性という意味では好影響が得られるものの、驚きや感動が少なくなり、否定的な人が増えてしまうだけに、やはり伏線とその回収を増やしすぎたのではないでしょうか。

「伏線回収」を語るうえで、もう1つふれておかなければいけないのは作品ジャンル。「伏線」とその「回収」が主に使われ、効果を発揮してきたのはミステリーとサスペンスで、視聴者は「終盤の謎解きにつながる伏線を探しながら見る」ことで楽しんでいます。

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