大団円の「カムカムエヴリバディ」が意外に罪深い訳 朝ドラに張りめぐらせた“伏線回収"は薬か毒か
4月8日、朝ドラ「カムカムエヴリバディ」(NHK)の最終話が放送され、ネット上には「全ての伏線が見事に回収された」「日本のドラマも捨てたもんじゃない」「終わって寂しいし、もうロスになってしまいました」などの好意的な声が飛び交い続けています。
昨年11月1日にスタートした同作は、序盤から「朝ドラ史上最速」と言われるほどのスピーディーな展開と、次々に初代ヒロイン・安子(上白石萌音)を襲う悲劇の連続で視聴者を魅了。その後、安子と最愛の娘・るい(古川凛)の壮絶な生き別れが放送された12月22日の第38話前後には、さらなる盛り上がりを見せました。
成長した2代目ヒロイン・るいを演じる深津絵里さんが登場すると、大月錠一郎(オダギリジョー)との淡い恋模様と両者の好演が称賛を集め、視聴率も上昇。3代目ヒロイン・ひなた(川栄李奈)の物語に移ったあとは、時代劇を絡めた物語で引きつけ、最後は生き別れてしまった安子とるいの再会を描いて感動を誘いました。
“ドラマ史上最多レベル”の注目作品だった
視聴者のSNS投稿やネット記事の多さは、“ドラマ史上最多レベル”と言っていいでしょう。私のもとにも「カムカムエヴリバディ」に関する数多くのコメントや執筆依頼が届きましたし、その熱狂ぶりは2013年放送の「あまちゃん」を上回るものがありました。ドラマに限らずあらゆるエンタメコンテンツを合わせても、最もネット上のコメントや記事の数が多かったのではないでしょうか。
ただ、感動の声を上げている人が多くを占めている反面、冷静な目で見ると、「『カムカムエヴリバディ』が称賛一色だったか」と言えば、そうとは言いづらいのも事実。実際、放送中や終了後に、「見続けてきたけど、けっきょくついていけずに脱落した」「盛り上がっていたけど、やりすぎの感もあった」「『最後は感動できるかな』と思っていたけど、いまいちできない自分がいる」などの声を何度も見かけました。
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