2つめの残念な真実は、たった1つのおにぎりなのに、じつは「かなり多くの添加物が使われている」ことも少なくない、ということです。
たとえば下記は、「鶏五目ごはんのおにぎり」の原材料表示です。
原材料表示のうち、「pH調整剤」以下が添加物です。
「そうなると7種類か……、結構多いな」と思うかもしれませんが、残念ながらそれよりもっとあります。なぜなら「一括名表示」と「キャリーオーバー」があるからです。
「pH調整剤」は食品の変質や変色を防ぐ添加物ですが、「pH調整剤」という1つの物質ではありません。食品のpHを調整する添加物の「集合体」なのです。
表記は「pH調整剤」1つですが、これには、だいたい5~6種類の添加物が混ざっていると考えていいと思います。
同様に「香料」も一括名表示です。こちらはどのぐらい使われているか、商品によって異なるので、ちょっと数はわかりません。
ちなみに近ごろ、「炊き立てのご飯の香り」という香料が開発されたそうです。コシヒカリタイプと、そうでない一般の米タイプなどがあるそうで、これが実用化されれば、「炊き立てのご飯の香りがする、冷えたおにぎり」ができるわけです。需要があるかどうかわかりませんが、すごいものができたものです。
「キャリーオーバー」を知ってますか?
次に「キャリーオーバー」。これは原材料からそのまま持ち込まれる添加物のことです。原材料に使われていても、最終的な製品に効果がない場合は表示をしなくていいのです。
「鶏五目ご飯のおにぎり」でいえば、原材料のしょうゆに「保存料」や「着色料」などの添加物が使われているとしましょう(しょうゆの添加物については『食品の裏側』で詳しく解説し、「『和食が好きな健康志向』の人も知らない深刻盲点」でも指摘しています)。
この場合、しょうゆに使われた添加物は、最終加工品である「鶏五目ごはん」にまで効果を及ぼしていないと考えられるため、表示をしなくていいということになっているのです。
しかし、少なくとも私が現役のときには、鶏五目ご飯は「鶏五目ご飯の素」を使って炊きあげられており、この「素」には、かなりいろいろな添加物が入っていました。それらの添加物も「キャリーオーバー」ということになり、ラベルには記載不要で、結果的にどんなものがどれだけ使われているか、消費者には知るすべがありません。
いずれにせよ、こうした「一括名表示」「キャリーオーバー」を考え合わせると、私の推測では、この「鶏五目ごはんのおにぎり」たった1個でも、のべ20~30種類ほどの添加物が使われていると考えて、およそ間違いないと思います。
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