風力発電機で中国最大手の金風科技は3月25日、2021年の通期決算を発表した。売上高は506億元(約9687億円)と前年比10%減少した一方、純利益は34億6000万元(約662億円)と同17%増加した。
同社は風力発電所の運営なども手がけているが、売上高の8割近くを風力発電機の販売が占めている。その販売状況について、2021年の決算報告書には注目すべき変化が表れていた。相対的に小型の風力発電機の販売台数が前年比6~8割も減少した一方で、大型の風力発電機の販売台数が同2~3倍に増加したのだ。
急速な「大型化」は、風力発電所の新規建設の重点が陸上から洋上へと一気に移ったことが要因だ。洋上風力発電所は陸上よりも建設コストがかさむ。そこで、運営会社は発電機を大型化して1台当たりの発電能力を高め、設備容量当たりの建設費を抑えようとしていることが反映された。
補助金政策のタイミングが影響
こうした動きの背景には、中国政府の補助金政策の影響がある。2021年は陸上風力発電所の新設プロジェクトへの補助金が打ち切られる一方、洋上風力発電所は補助金が支給される最終年というタイミングだった。そのため、金風科技では陸上用の発電機の受注が大幅に減ると同時に、洋上用に大量の駆け込み受注が発生した。
中国の風力発電所の総設備容量は2021年12月末時点で約3億3000万キロワットと、1年前より16.6%増加した。そのうちの92%は陸上風力発電所であり、洋上はまだ8%に過ぎない。しかし2021年の新設部分に着目すると、陸上風力の設備容量が前年の半分以下に減少した一方で、洋上風力は前年の5.5倍に増加した。
こうした陸上から洋上への変化の波は、風力発電機業界の勢力図をも塗り替えつつある。金風科技は現在も業界首位の座を守っているが、2018年に32%だった市場シェアは、2020年には21%に後退した。
洋上用の発電機に限れば、市場シェア首位は上海電気風電集団、2位は明陽智慧能源集団であり、金風科技はそれらの後塵を拝している。
(財新記者:趙煊)
※原文の配信は3月26日
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