朝起きたらすぐに行きたくなる会社がよい会社--秋元征紘・ジャイロ経営塾代表(第4回・最終回)

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 たとえば、私はゲランの社員に「ゲランを愛しなさい」「製品を愛しなさい」「顧客・仲間を愛しなさい」と言ってきました。ブランドや製品が嫌なら辞めたほうがいいですよとも。本人も不幸ですし、方針に合わない人間を放っておくと不正事件を起こしたりします。理念や戦略の中に自分ができることを見いだしたとき、社員は120%かそれ以上のエネルギーを持って仕事をします。個人の人生と会社がオファーしている仕事が合うかどうかということに気を配れば、いい人材は集まります。

やる気を伝染させるような社風をつくっていくことも大事ですね。インターナルマーケティングが大事だとよく言われますが、たとえば営業に知らせていないことをメディアに発表することは避けるべきです。会社の新製品をニュースで社員が知るなんてケースは最悪です。

しかし、こうした発想は日本では少数派です。この意味では年功序列や終身雇用といった人事システムを貫いたわが国の経営は、世界の中でガラパゴス化してしまったように思います。

また日本は、一般的に会社が大きいことはいいことだと思っていますが、LVMHのように組織を分社してもっと機動的な組織にすれば、多くの企業も活性化するのではないでしょうか。小さい会社は雇う側も雇われる側も毎日本音で意見をぶつけ合います。新陳代謝がいいのでいい人材はどんどん伸びていくし、合わない人は他に移ることができます。

個人も、自分の志と自分の仕事がどういうふうに結びついているかをつねに確認し、進退を決めるのです。社内でも日頃から情報を貪欲に吸収し自らを鍛え、来るべき事態に備えましょう。

個人にとって会社とは自己実現の場です。会社は何もしてくれません。何かできるのは自分だけなんです。

(撮影:梅谷秀司)

あきもと・ゆきひろ
ジャイロ経営塾代表。1944年生まれ。上智大学経済学部卒業、シドニー大学経済学部修士課程修了。1970年日本精工�入社。ニューヨーク、トロント駐在後、日本ケンタッキー・フライド・チキン�(日本KFC)マーケティング本部長、日本ペプシ・コーラ副社長、日本KFC常務取締役、�ナイキジャパン代表取締役社長、LVMHグループのゲラン�代表取締役社長、取締役会長、ゲランSA(パリ本社)執行役員を歴任。2006年ワイ・エイ・パートナーズ�設立、代表取締役に就任。2008年ジャイロ経営塾を設立。複数の企業の役員・顧問、各地での講演、子供地球基金の理事、六本木男声合唱団倶楽部の団員・幹事など、広範な活動を展開している。

■CEOへの道は、エグゼクティブ向けの人材会社・経営者JP主催のセミナー「トークライブ・経営者の条件」との連動企画です。
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