【産業天気図・食品】異常気象と投機マネー流入で原料価格高騰、価格転嫁も至難、後半「曇り」に後退へ

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予想天気
10年10月~11年3月 11年4月~9月

食品業界は2010年10月~11年3月の「晴れ」に対し、11年4月~9月は「曇り」に景況感が後退しそうだ。10年の世界的な異常気象により小麦、大豆など主要作物の価格が高騰。この影響で、11年春以降は食品メーカーの原料コストが膨張するおそれがある。
 
 食品市場は微減傾向が続く。変動要因となるのは、投機マネーの流入で乱高下しがちな穀物価格の動向だ。特に小麦粉など穀物原料の比率が高い、製麺、製パン、菓子業界への影響は大きい。また油脂メーカーや調味料メーカーも要警戒だ。

10年10月~11年3月は原料価格が安定、さらに工場再編などコスト削減策の効果も現れ始めている。特に生産拠点の再編は、キューピーや東洋水産、森永製菓、江崎グリコなど大手各社が高度経済成長期に拡大した拠点をようやく現在の需要に合わせて見直した。また食肉業界も、各社にとって稼ぎ頭であるハム・ソーセージ原料の輸入豚肉が円高効果で原料価格低減につながっている。

ところが11年4月~9月は一転、10年の世界的な穀物不作が原料価格上昇に転嫁される見込みだ。自前で流通網を持ち価格決定権を握る山崎製パンなどは別格だが、大多数のメーカーは消費環境の厳しさから大幅な製品価格転嫁(値上げ)は困難。コスト削減での吸収も一巡し、厳しい状況となるだろう。

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